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第五十三話 協力

 「お前…」


 と、サクは怒りを込めながら、アランに立ち向かう。激戦の中、


 「お前は結局何が望みなんだ? この世界を終わりにして、何が得なのか」


 と、サクはアランに問う。


 「私は奪われ続けたんです。何度も悲しみ、憎み、絶望に陥りました。ですが、気づいたんです。もうこの世界を無くせば、この絶望感も消えてなくなる…と」


 戦いは両者一歩譲らず、激戦を続けながら、二人の会話は続く。


 「何を奪われたんだ。はるみの父ちゃんと母ちゃんか? はるみからすれば、実の親だろ」


 「あぁ、それもありますね。ですが、その前に、貴方、サクさんの実の父が、私の兄を奪ったんです。それが始まりですよ、私の地獄は」


 「アイツが原因なのか? そこで丸く収めろよ、何で俺らまで巻き込まれなきゃいけねーんだよ」


 「サクさんには、大変申し訳ないと思っていますよ。ですが、晴美さんと関わるから、仕方ありません」


 「だから、はるみは実の子供だってつってんだろうが」


 「晴美さんが生まれるまでは、私を子供のように育ててくれたんですよ。成長し、自立しようと少し離れていると、気づいたらアザーから出て行ってたんですから。それって、晴美さんのせいじゃないですか?」


 「大人げねぇなぁ! 自立って、結局自立してねぇじゃねぇかお前」


 「うるさい! 家族だったら、アザーから離れる時に挨拶ぐらいするでしょう? 子供ができたからって、私の事は忘れて無かった事にしたんです。貴方も分かるんじゃないですか? タルトとサーラのように、自分よりも幼い子達を育てていたと知ったら」


 「分からねぇよ、そんなもの。俺はアイツが父親だって思った事もねぇからよ。そう考えれば俺の方が幸せ者かもしれないな。だが、はるみの父ちゃんと母ちゃんだって、何か訳が…」




 「アラン!!」


 声がする方へ、アランとサクが目を向けると、そこにはボロボロになったサクのお爺さんの腕を、ボクの父と母の肩にかけゆっくりと歩いて来ていた。


 「ピコさん、ムイタさん… 何で生きているの…?」


 アランが目を見開き驚いている。ピコさんと呼ばれているのが、ボクの父の名。ムイタさんと呼ばれているのが母の名だ。


 「お前、何を!!」


 サクが怒りを込めて殴りかかろうとした時、


 「サクさん待って!」


 と、ボクの父、ピコが離れた所から手を向けサクの動きを止めた。その後ろで、母は、ボクにゴニョゴニョっと呟き何かを施した。


 「ごめんね、サクさん。ちょっと話をさせてくれないか? 色々話さないといけない事があるがね…」


 サクは目で納得した合図を送り、サクが動けるようになった。


 「アラン、寂しい思いをさせたのは悪かった。だが、お前に危ない目に合わせないためでもあったんだ」


 「後からなら何とでも言えますよ。そんな戯言を聞くぐらいなら、もうチャチャッと終わりにします」


 「待って!」


 アランが何かを発動しようとした時、ボクの母、ムイタがもう一度呼び止めた。


 「何ですか、ムイタさんまで」


 アランは鬱陶しそうにしているが、発動しようとしていた能力は収まり、話を聞くみたいだ。


 「あの時、はるちゃんを守るのに精一杯だった」


 アランは呆れた顔をする。


 「あれから追っ手が来て、はるちゃんを守るのに精一杯だったのは本当なの。でもね、あの時にアランも連れて来ていると、地球は崩壊していたわ。アランは主人の能力を受け継いで、色んな人の能力をコピーできるようになって、強くなった。それはすごい事なの。でもね、地球では些細な能力を使う事だけでも不審に思われ、肩身の狭い生活になる。せっかく、高い能力によって、好きな暮らしが出来ていたのに、私達のせいで、アランの生活を壊したくなかったの。親として、子を守るのにはそれが一番だと思った」


 「結局、私を捨てたのには変わりないじゃないか」


 アランは涙を浮かべ、ピコと、ムイタを睨みつける。


 「俺達は、捨てたなんて思っていない。だってよう、追っ手の事が片付いた後、お前に会いに行ったから。会いに行った頃には、王様の元に居て、近づく事も出来なかったがな」


 「はぁ? 来たんなら、何故連絡しないんだ! そう言って、私の機嫌を取れば収まると思ったんなら大間違いだ」


 だんだん、アランの息が荒くなり肩を上下に揺らし、巨大な圧を感じる、サク達。


 「連絡なんかしたら、通信で俺達が来た事がバレれば、アランに会うことすら出来ないだろ! アランは、王様に乗せられているんだと思った俺達は、アランを救うべく、わざと捕まり、再びアザーに来たんだ」


 「だから後から何でも言えるだろ! そんな戯言を聞くために私の時間を奪うな!」


 気を抜いていたサクへ、アランが技名を言わずとも『ストロング・ガン』を、放ち、すぐに気づいたサクだったが、間に合わず、急所に当たり、戦闘不能に。


 もうダメだと諦めかけた、ピコと、ムイタ、そしてサクのお爺さんだったが…


 「ふわーーん…」


 と、呑気なボクが、欠伸をしながら起き上がった。


 「晴美!!」

 「はるちゃん!」

 「はる…!」


 起きたてのボクは、父と母と、お爺さんが、目の前にいる事、ボクの身体がピンピンしている事が、不思議で仕方なく、脳内が爆発した。


 「晴美ーー!」

 「はるちゃーーん!」

 「はるーー…」


 ボクを、叩き起こし、短い時間で状況を聞き涙を堪えるボク。父と母、お爺さんがここへ着いた時、母はボクにタイムレボリューションをかけ、身体の時間だけ戻してくれたのだ。瀕死状態のボクを元に戻したのだから、母の力はほとんど削られてしまい、経っているのもやっとの状態だった。お爺さんは、田嶋くんと別れた後、アランの元へ向かい、アランを止めようとしたが、現役のアランには勝てなかった。

 

 幼かったボクに能力の使い方を教えてくれた父は、実はアランに能力を譲渡し、もう能力を使えなくなっていたらしい。ボクに教えてくれていた時は、母が時間を戻し、使えていた能力を蘇らせていたみたいだが、今となっては、母の時間の戻せる範囲で能力を使わせる事が出来ないと言う。ということは、ボクがアランを止めないと行けないという事だ。


 (起こしてくれたのはすっごいありがたいんだけど、これボクいけるー?)


 アランはもうコピーしているか分からないが、父と母、お爺さんはテレパスが使えない。だけど、ボクの気持ちを悟って、


 (がんばっ)


 と、こんな土壇場で、ウインクをして、軽いガッツポーズで託される。


 不安が募るばかりだが、どうやらアランはもう止まれないらしい。どんどん髪の毛が外に跳ねて、ボクは今にも吹き飛ばされそうだ。


 「ねぇ、お父さん、お母さん。ちょっと…」


 と、父と母に耳打ちをして、お爺さんが仲間外れにされ少し不服そうにしているが、アランに立ち向かうボク。


 「うぉーー! ファイヤーエクスポーション!!」


 ボフッ…


 ボクの放った炎は、アランの氣だけで消え去った。アランは動くことも無く、どんどん辺りを壊していき、アザーの崩壊寸前だ。涙目になりながら、父と母達の方へ見るが、やればできると言わんばかりの期待の目をされる。


 そこで、ボクは思いつく。アランに能力を晒しているものにはコピーされているだろうが、晒す前のものならと、新作の技を思いつく。その名も…


 「貴方はTV! 私はリモコン! 『ポチッとな…』」


 と。後ろから、冷めた目で見るお爺さんと、目をキラキラさせる、両親。


 すると、星の崩壊が一瞬止まり、その隙に、父と母をテレポーテーションでアランに飛び付かせた。その勢いで、父と母はアランに抱きつき、


 「ただいま」


 と、言葉をかけた。アランは、大粒の涙を流し、


 「お…そいよ〜…」


 と、崩れ落ちた。アランによる、アザーの崩壊は止まったが、ボクの仲間、被害にあった者たちがそのままだ。そこで、


 「はるちゃん、お母さん、能力を使うにもまだ回復が足りないの。だから、お母さん手伝うから、はるちゃんの、ア、アローエ? キズニハヤッパリコレ? ってやつ? ロンさんから聞いたんだけど、それを使いながら、タイムチェンジを使って、みんなを救うのよ! これなら、アランもコピーが出来てる」


 ボクは、裏切られて、さらに仲間を傷つけた人と協力するのが嫌だと顔で伝えたが、


 「ねっ!」


 と、父と母の親特有の不気味な笑みで頼まれ、しぶしぶ、アランと協力する事に…。



 「まだ許してませんからね」


 と、顔を向けずアランに伝えると、


 「分かってます。これから、償いますので…」


 と、申し訳なさそうにするアランへ、ため息を吐くボク。


 アランとボクは天に手を向け、母はボク達に能力の氣を送り、


 「タイムチェンジ」


 と、同時に唱えた。すると…



 皆がどんどんと起き上がっていき、何が起こったか分かっていないようだ。田嶋くんとヴァイロンは、ボクのところに駆け寄ろうとしたが、その目の前を通って、サクの胸に飛び込んだボク。田嶋くんとヴァイロンは、二人で肩を叩き慰め合っている。


 「サク!! やっと、終わったよ! また、普通の暮らしができる!」


 「はるみ、お前…」


 と、感謝の気持ちを伝えてくれるのかと思えば、


 「良いところ取り上がって、ずるいぞ!」


 と、何故か怒っている。


 それにボクが拗ねて、サクの頭へゲンコツを与えて、田嶋くん達がいる方へ走っていった。その後ろから、田嶋くんに向かって、グッドのポーズをしながら、回復したはずなのに寝転んだ。それを知らないボクは田嶋くん達のところへ駆け寄り、


 「みんなお疲れ様!」


 と、叫んだボクを、陽の光が照らす。



 

 あれから半年が経った。


 何と、アザーの人々だけでは無く、全宇宙の人々が行き交う世界になった。魔法、超能力など、もう誰も驚かない。


 最後に戦ったタルトと王様は薬の作用で修復に時間がかかったが、今は大人しく過ごしている。


 ボク、サク、田嶋くんは地球で再び生活をして、サクの学生生活も、終わりかと思えば、一度入学したのだから、単位を取るまで卒業はさせないと校長に言われ、38歳にして、ボク達と学校へ通っている。何故か、ヴァイロンも入学して、ジャガーは各宇宙の言語、宇宙語の教師になった。


 サクのお爺さんは、レイヤとアーシャと共にガラクタ作りを楽しんでいる。ボクも、父と母が帰って来て、また和やかな生活を送る、はずが…


 「王! 王妃!」


 ボクの父と母はアザーの王様、王妃になり、忙しそうだ。


 そして、アランは避難を浴びる事になったが、父と母の言葉により、執事となり、共に行動している。結局、家に帰って来て一緒に過ごす事は難しくなったが、その分、ボクには友達、仲間が出来た。だから、もう寂しくなんか無い。だって、ボク達は『ジョア・ら』だから!


最後までお読み頂きありがとうございました。

初の長編にして、間隔が空きながらの投稿だったので、まだまだ未熟な点が沢山ありますが、これからも応援して頂けると幸いです。

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