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第五十二話 欠けてゆく

 ヴァイロンへ向かったタルトは、ヴァイロンの攻撃を切断しながら避け、ナタを振り翳した。が、1対1では、上空からの大量のイナズマには敵わず、そのまま姿が消えていった。


 「おいおいおい、二人になった時に思ったけどよぉ、やっぱり本体がいるんじゃねぇか。しかも、その本体が田嶋の方に行ったのかよ。これはやべぇかもな」


 と、ヴァイロンはすぐさま田嶋くんの方へ走り出すが、間に合わず、ナタで切られてしまい、倒れ込んでいる田嶋くんと、棒立ちのように立ち尽くすタルトと目が合う。


 「お前なーーー!!」

 (こんな時に確実に勝てる相手に挑むなんて本当卑怯なやからだぜ)


 と、ヴァイロンの憎しみを込めた叫びが辺りに広がり、駆け寄っていく。ボクも耐えきれず、


 「田嶋くん!! 自分で決めた事やりきるんでしょ!! 立て!! 後の事は私に任せろ!!」


 と、叫ぶ。


 そこで、ヴァイロンが目にしたのは、


 ピクッ…。


 「田嶋…。さすがだな。これが愛の力ってやつか?」


 とヴァイロンが田嶋くんに声をかけると、ゆっくりと目を開ける田嶋くん。


 ボクとジャガーは涙を堪え、抱き合う。


 その光景を目にした田嶋くんは立てないほどの身体のはずなのに、凄い勢いで立ち、ジャガーに向かって睨みを利かせた。ジャガーはすぐに察し、ボクを引き離すと、苦笑いをしながら手を振る。それを見たボクはキョトン…だ。


 ヴァイロンも加勢しようとするが、田嶋くんが止め、立つのもやっとの状態のタルトへ、こう語りかける。


 「貴方が何故ここまでしたのか、僕には分かりませんが、きっとこれが大事な事だったんでしょう。でも、ハッキリ言います。このやり方は間違ってます。必ず、僕達がこの星を救いますので、安心して眠っていてください」


 今にも倒れそうなタルトだが、それでもナタを振り上げる。そんなタルトへ田嶋くんは、


 「コンフィデンス・ライト&ファイヤー!」


 と、ヴァイロンの能力の様なイナズマを当てて、ボクのファイヤーフィーバーの様なムチで捕獲した。


 田嶋くんのヴァイロンVSタルトの結果は、田嶋くんとヴァイロンの勝利となった。その後、ボクが田嶋くんとヴァイロンの傷を『アローエキズニハヤッパリコレ』で修復させると、


 「あれ… 頭痛がまた無くなりました。というか、何だかプチッと違和感が消えた気がします」


 と、驚く田嶋くんに、ジャガーは、


 「さっきのサクさんへ行った晴美さんの能力を見ている限り、多分ですが、この星の適応能力がついたのかもしれませんね」


 と、顎に手を当てて、感心するジャガー。


 「もしかしてボクって凄いの? ヤバくない? 本当になんでも治せるじゃん」


 「いや、今気づいたの?」

 「自覚がなかったんですね…」

 「流石、俺の見込んだおん… やるな、晴美」


 と、回復したヴァイロンを含め、田嶋くん、ジャガー、ヴァイロンの順に、呆れながらも、ボクの呑気さに心が休まるのだった。



 その頃、サクと王様は、


 「ストロング・ガン!!」

 「セクシーダイナマイト!」

 「トルネードキック!!」


 と、技を繰り出すサクに対して逃げ回る王様の姿をボク達は見つける。


 「ラスボスの一人があれってなんなの」


 ボクが不思議そうに話すと、


 「アイツ、俺が抜ける頃にはただの老いぼれたじいさんだったぜ。顔が相変わらず良いのは腹立つけど。タルトを見て確信したが、変な薬を常時摂取しすぎて、もう能力が使えない様になっているかもしれないな」


 と、その時。


 「セクシーダイナマイト!! ふぅーやっと当たったぜ」


 サクが渾身の一撃、セクシーダイナマイトを放ち、王様が倒れた。そこで勝利を確信したボク達はサクに駆け寄ろうとするが、


 「来るな!! まだ終わってねー!」


 と、焦った声をしたサクの声がボク達の心臓まで響いた。


 様子を見ると、ムクっと起き上がった王様はさっきまで怯えていた時と打って変わって、拳を握り反動をつけ、


 「セクシーダイナマイト!!」


 と、サクの腹に向かって強烈なパンチを入れた。


 「ブフッ!!」


 口から血を出しながらも、倒れず耐えるサク。心配が募る中、邪魔になるボク達は、見守る事しか出来ない。


 「なんだよ、お前。 元息子の技パクってそれで勝った気になるなんて思ってねーよな」


 と、まだ余裕のある笑みを浮かべるサク。


 「あー、パクる? 俺から生まれたんだから、お前の能力は俺のものだ」


 と、今更父親ズラをする王様に、ボク達は怒りを抑えるのがやっとだ。


 「まー、それもそーか。血には抗えねぇわ。でもよう、お前に好き勝手されるぐらいなら、死んだ方がマシだ」


 と、サクが自らの拳で顔面を殴ろうとするサクへ焦る王様。


 「おい、何してるんだ。大事な身体に、何をする!!」


 「大事? マジで吐きそうだわ。俺とはるみを使って、宇宙征服でもしようとしてるんだったら、やめとけ。お前は利用されているだけだ」


 「あぁ、アランが何を企んでいるのか詳しくは知らないが、分かっているよ。だがな、全宇宙で1番になれりゃあ何でもいいんだよ。自らが王様になってもよぉ、満足出来なかった。じゃあ次は宇宙征服しかないだろ。でもそんなもの、俺一人で出来るなんて思っちゃいねぇよ。だから、お前の力が必要なんだ。お前を捨てた事は悪かった。こんな立派に育ってたなんて早くに分かっていたら、もっと早くに迎えに行っていたよ。遅くなってごめんな、サク…」


 と、涙をポロポロ流しながら話す王様に、


 「芝居打ってないで、早く決着つけようぜ。もっと良い話を聞かせてくれるのかと思えば、子供じみた理由で、俺を必要だと? 父ちゃんと母ちゃんに引き取って貰えて幸せ者だぜ、俺は。子供の利用価値によって要る要らない決めるような奴が親じゃなくて本当に良かった」


 と、サクは拳に力を入れ戦闘体勢に入った。


 「実の親に何て事を言うんだ。まぁ、あのまま逃げ切れてりゃあ、そろそろアランが来る頃だって思っていたけど、待っている暇は無さそうだ。少しの間黙っていてもらおうか」


 と、何も持っていないはずなのに、背中に腕を回し、炎で焼かれているような赤黒い剣を抜いた王様。二人はグッと力を込め、走り出し、正面からぶつかり合う。


 「フンッ!」

 「ゔん!!」


 互いに一歩譲らず、激しい戦いが続くが、サクの鋭いパンチが、王様の顎に命中し、後ろへ吹き飛んだ。サクは、王様が起き上がるのを待つ事無く、


 「セクシーダイナマイト!!」


 と、少々締まらない技の名前だが、王様にトドメを打つ。


 こうして、呆気なく王様との戦いを終えたが、サクの様子がおかしい。王様は白目になり気絶してるのにも関わらず、サクの強烈なパンチは止まない。すかさず、ボクと田嶋くんが駆け寄りサクの腕を全力で掴む。


 「離せ」


 いつものおちゃらけたサクじゃない。殺意のある目をして、ボク達を払い除けた。そしてまた王様へ強烈なパンチを送り込もうとするが、田嶋くんに加えて、ジャガーとヴァイロンも加わり、何とかサクの動きを止めた。


 「離せつってんだろ、お前ら!!」


 腕を振り回そうとしているが、男3人に掴まれては、さすがのサクも身動きが取れなかった。


 「サクさん。ここまでして、何か得られるんでしょうか。気持ちは分かります。ですが、どこまでやっても許す事は出来ませんし、気が収まる事はないでしょう? こんな人に、サクさんの手が汚れるのは勿体無いです」


 と、田嶋くんの言葉で落ち着いたサクは、


 「そうだな。悪かったな、突き飛ばして。はるみも。ジャガーヴァイロンもありがとう」


 と、抵抗していたサクの拘束を解き、ボク達は言葉を出さず、お疲れ様の意味を込めて、背中に手を当てた。だがそこで、後ろから拍手の音が聞こえて来たのだ。ボク達はゆっくりと後ろを振り向くと、


 「仲間って良いですねぇ。感動感動」


 と、馬鹿にした口調で話すアランが立っていた。


 「自ら来てくれて助かるよ」


 と、サクは気を荒くせず、落ち着いた口調で、ボク達を後ろにして、前に出た。


 「数を減らしてくれてありがとうございます。サクさん。私も、歯向かってくる人全てを一からやるのは大変ですから」


 「何を言ってんだ?」


 「あー、説明が必要ですか? どうせ皆んな消えるのに無駄な話になるのですが…」


 と言ったアランはいきなり姿を消し、気絶している王様の目の前に再び現れた。


 「アラン何を!…」


 ボクがテレポーテーションで王様の元へ駆け寄ったが間に合わず、アランの指先から生えた鋭いナイフで王様の息は途絶えた。


 「残念でしたね、はるみさん。ですが、何故このお方を守ろうとしたのですか?」


 アランが不気味な笑みで笑い、ボクに問う。


 「この人が元気で生きている価値は無いのは承知の上で、ここまでする必要も無いからだよ。こんな事をしても、誰も報われないから」


 ボクは下を俯き、拳に力を入れ静かに怒りをアランにぶつけた。だが、アランは不気味な笑いを止めず、


 「報われるでしょう。この人のせいで何人が犠牲になったと言うんです? いくつになっても、子供じみた理由で人々を支配していたんです。死んで当然」


 すかさずボクは、


 「だったら、アランはどうなの? 何が目的なの?」


 と、訴えると、


 「全宇宙を消します。ただそれだけですよ、私がしたい事は」


 と、平然とした顔で言った。


 「今、なんて…」


 「はぁ!?」


 ボクが言葉に詰まると同時に、サク含めボクの仲間達は、言葉を揃えて驚き、呆れる。


 「嘘だと思うなら嘘でも良いです。今から順番にやって行きますから」


 と、アランは、ボクらの圧に負けず、平然とした対応だ。


 「この人数が居て良くそんなことが言える…な?」


 ヴァイロンが口を開くと、ボクのテレポーテーションより遥かに早く、ヴァイロンの目の前に現れ、王様に放った攻撃と同様、指から生えたナイフでヴァイロンに刺し、ヴァイロンはその場で倒れた。


 「ヴァイロン!!」


 サク、田嶋くん、ジャガーはヴァイロンの身体を起こし、ボクもテレポーテーションで駆けつけるが、息が止まっている。ボク達はアランを睨みつける。


 「おー、怖い怖い。でも、私javascript:void(0);ちゃんと事前にお伝えしましたから」


 と、憎いほど嬉しそうな笑みを浮かべる。


 ボク達は立ち上がり、アランへ一斉攻撃を始めた。だが、4対1にも関わらず、あらゆる能力でボク達の攻撃を交わした。


 「お前、本当は何の能力を持ってんだ?」


 「今知ってどうなるんでしょうか? 皆さん同じ事になるのに」


 サクがアランに問うと、アランは気絶したままのタルトとサーラに向かって、次はヴァイロンの能力と似ている、イナズマを命中させる。


 「おい、話の途中に何してくれてんだ! はるみ、アイツらを直してやってくれ!」


 サクはアランに飛びつくようにセクシーダイナマイトを放ち、アランが離れたところでボクはテレポーテーションでアランにやられた4人を1箇所に集め、アローエキズニハヤッパリコレを与え治癒しようとするのだが…


 「うゔっ…」


 背中が熱く、激しい痛みに襲われるボク。ゆっくりと振り返ると、そこにはアランが居た。


 「いらない事しないで下さいね、はるみさん」


 と言ったアランの姿が、どんどん霞んで行き、ボクは気を失ってしまう。


 ボクを心配し、サク、田嶋くん、ジャガーの3人がボクに駆けつけながら叫ぶ。


 「はるみー!」

 「蒼井さん!」

 「晴美さん!!」


 それからは記憶に無いが、しばらく死闘を繰り返す。瞬く間に、田嶋くんとジャガーもボクと同じ目に合い、残るはサクだけとなった。

読んで頂きありがとうございます。

引き続き最後まで駆け抜けるので宜しくお願いいたします。

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