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第四十八話 鬼ごっこ再び

 「まって… 切れてる切れてる。サクあれ見て!」


 それより泥沼に吸い込まれた自分を助け出して欲しいサクだが、仕方なくボクの指が指す方へ目を向けた。


 「えー!!!」


 目が飛び出た。


 「ここは、能力者ばかりの星だからあり得ないことは無いけど、めっちゃ出てる血が… もっとスパンとパズルみたいにならないの?」


 驚いているボクとサクをみて、タルトはしてやったりの顔だ。


 「引いたか? 引くよな普通。だがな、人を外見でしか判断できない奴とは仲良くなれねぇ…なぁ!」


 沼に沈んだ下半身を残して、ナタを持った上半身だけがサクとボクに向かってくる。さっきまでただ切れた上半身だったが、タラタラ血が流れ出している所からどんどん下半身が戻っていく。


 「ぎょえーーー! 沼に下半身残ったままなのに、再生してるよ。あの下半身どうなるの!?」


 「トカゲみたいなもんだよ」


 「いや、トカゲの尻尾、再生するけど体力すごく消耗するから場合によっては死んじゃうって聞くよ? しかも、再生した尻尾は軟骨で出来てるって…」


 「はるみ、何でそこは詳しいんだ?」


 「いや、尻尾再生するってすごいなと思ってネットで調べただけだけど」


 サクとボクが話していると、


 「つべこべうるせぇな! トカゲみ、た、いって言っただけで、俺はトカゲじゃねぇ! 血液が残っている間は何度でも再生するぜっ!」


 ボク達が話している間に、下半身を再生したタルトが、ボク達に向かってナタを投げてきたのだ。


 「はるみ後ろに隠れろ!」

 「うん!」

 「おでこぴっかーーん!」


 投げてきたナタは、サクのシールドによって跳ね返りタルトの手元に返った。


 (ネーミングセンスダサいけど、結構役立つな、サクのシールド…)


 「何だ、またダサいとか思ってるのか?はるみ」


 「そ、そんなわけないじゃん。ありがとうサク様っ、はぁと」


 「様つける辺り、絶対に馬鹿にしているだろ。しかも、口で『はぁと』って可愛いと思ってるなら勘違いしているぞ。あざとくするなら、手で作れ!」



 どうでも良い話を、ゴタゴタ話し続けているボク達を見て、ため息をつくタルト。


 「お前達、何の為にここに来たか分かってんの?」


 と、敵に本来の目的を思い出させられる始末だ。


 ぺこぺこ頭を下げながら謝ると、1人しばらく声が聞こえてこない人がいる。


 「ね、サク! ジャガーは!?」


 「本当だ、さっきから声がしない。 はるみ、早く俺をここから出せ!」


 「いや、沼の海流を逆回転にしたらすぐに出れるんだけど、そうするとサーラって人が一緒に出てしま…」


 「おいおいおいおい… もういねぇよ、いつの間に抜け出したんだよ」


 サクが埋もれながら首を動かし、サーラとジャガーを探すが何故か額に手を当てて、しまったという表情に変わる。


 「はるみ、後ろ見てごらん」


 サクは無意識だろうがいきなりのイケボにちょっとドキッとさせられるボクだが、後ろを振り返ると…


 「ジャ、ジャガー…」

 


 サーラがどうやって抜け出したか分からないが、ジャガーは蜘蛛の巣でできた筒の中に入ったり出たり遊んでいる。まんまとサーラの罠にかかっていたのだ。


 急いでサクを泥沼から救い出し、ボタボタと泥を垂らしながらジャガーの元へ向かうが…


 「おい、おっさん。お前の相手は俺だ」


 と、背後からタルトがサクに向かってナタを振り落とす。泥のせいで足が重く、サクの腕にかすり、傷口から血が滲んできている。


 「サク!血が…」

 「このくらい大丈夫だ」


 ボクが戦闘服の制服からハンカチを出して、サクの傷口に縛る。


 「おい、そこのキャラ被り。人の事心配している場合?」


 次はボクの背後からサーラが話しかけてきた。すると、脚に違和感が…


 「ご、ゴキブリ!?」


 咄嗟に手で払い逃げるが、


 「何で着いてくるの〜!!」


 明らかにボクを追いかけているゴキブリ。


 「フッ。これがあたしの能力。昆虫を操り、昆虫の特性もコピーして使えるの。だからこんなことだってできる」


 さっきまで蜘蛛の糸を出していたのに、いきなり体の表面が茶色くテカリのある鎧を纏い、ボクを追うゴキブリと共に、追いかけてくる。触覚はなぜか自作のカチューシャだ。


 「気持ち悪い〜!! ジャガーそこで遊んでないで、助けてよぉ」


 ジャガーは罠にハマったまま、ずっと遊んでいるが、こっちを見てくれた。ゆっくりと、ボクの逃げている方向へ体を向ける。


 (気づいてくれた。良かったぁ… 早く)


 「って、えぇえーーそっち!?」


 ジャガーはボクのところに来て抱えて助けてくれると思いきや、ボクを追いかけているゴキブリ、ゴキブリに扮したサーラを狙って走ってきたんだ。ゴキブリ達は予想外の展開に、汗を飛ばしながら必死で逃げる。


 「おい! ゴキブリとゴキブリもどき! 逃げるんならボクと違う道に行ってよ!! 何でボクの通る道に逃げるんだよーう!!」


 ゴキブリ達は必死に逃げているはずなのに、ボクの後を着いてくる。ジャガーはスピードを緩めないし、ボクはゴキブリとぶつかりたく無い、超高速の鬼ごっこになってしまった。

 名前はジャガーだけど、本当はチーター。肉食動物最速と言われているチーターが後ろから追いかけられると本当だったらすぐに捕まってしまう。でも、ゴキブリに接触したく無いの一心で、ボクは何とか逃げているが、もう体力が…


 (ん? なんだか、足音が聞こえな…)


 ゴキブリと共に全力疾走しているボクは、後ろを振り返ると、ジャガーは、体力切れで横たわっている。と、言うことは…


 「ちょ、ちょっと! ゴキブリさん達! もう追いかけられてないから、一旦止まってよ!」


 ゴキブリに扮したサーラはともかく、本物のゴキブリも人間の言葉が分かるのか、後ろを振り向きジャガーが来ていない事を確認するとパタっと立ち止まった。ゴキブリ達と共に、荒くなった息を整えた後、


 パンッ!


 と、ハイタッチをした。


 (……。)


 「いぃやぁぁぁぁ!! ゴキブリ触っちゃったよ!!」


 体力の限界とゴキブリと触れてしまった事により、ボクも地面に横たわる。



 「ねぇ、そこで寝転んで気を抜いているのかも知れないけど、今の置かれている立場分かっているんだよね」


 殺気を纏ったサーラの言葉が辺りに響き渡り、腕を組んだゴキブリとゴキブリに扮したサーラがボクの顔を覗き込む。



読んで頂きありがとうございます。

引き続き宜しくお願いします。

応援して頂けると幸いです。

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