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第四十六話 田嶋くんとジャガー

 田嶋くん、ヴァイロンと別れ、ボク、サク、ジャガーの3人は王の元へ向かった。


 「おい、今からラスボスの1人と戦うんだぜ。なんだその顔は。はるみ…」


 「ぅゔ〜… グスッグスッ」


 涙と鼻水を垂らしながら走るボク。すぐ後ろに走っているジャガーの顔に風で靡いた鼻水がかかる。ジャガーは、顔に着いた鼻水を拭いながら、


 「ここに来る時もこんな場面あったみたいですね。田嶋さんと会った時におっしゃっていました」


 「そうだ、ジャガーはどうやって田嶋と会ったんだ?」


 前に走ってたサクがその場走りをしながら、ジャガーが追いつくまで待った。


 ジャガーが追いつき並走しながら話し始める。


 「サクさん達と別れた後、僕が地球からアザーに戻ると、王様は案の定怒っておりました。ですが、サクさん達の伝言を伝えると、戦いに負けた事などどうでも良くなり、そんな伝言を伝えるくらいだから、僕が信用出来ないと、王様の言いなりからは逃れられました。晴美さんが編み出してくれた食料のおかげで食い繋ぐ事ができ、皆が元気を取り戻し、商売の方も少しずつ再会出来て、本当に感謝しております。

 僕の住んでいる町は、スノーダイアリーとブラックファクトリーの間にある、アニマルンと言う町です。そこで、田嶋さんとヴァイロンさんに会いました」


 ジャガーは、ヴァイロンを見て、田嶋くんと一緒にいる事に違和感を覚え、何か企んでいるのでは無いかと思い、田嶋くんからヴァイロンを引き離そうとしたみたいだ。だが、田嶋くんから説明を受け、信じる事に。それからジャガーも共にブラックファクトリーを目指した。


 ブラックファクトリーに着き、ヴァイロンが思い当たる場所へ向かった。そこは、大きい倉庫があり、隣には3階建ての建物があった。倉庫と建物を塀で囲まれている。3人で塀から覗き込み、様子を確認する。

 すると、ヴァイロンの勘は的中し、そこでアランの姿を見つけた。アランが田嶋くん達の姿に気づいていなかったおかげで、建物から離れた隙に潜入する事に。元々田嶋くんはアランの事を信用しきれていなかったおかげで、驚く事はなく、その場で状況を理解したみたいだ。


 入り口には門番が2人立っている為、真正面から行かず、塀を飛び越えて潜入しようと案を出す田嶋くん。だが、さっきまでは3人で塀から覗いていたはずなのに、ヴァイロンとジャガーの姿が無い。田嶋くんが門へ目を向けると、門番の2人を一瞬の間で戦闘不能にした、ヴァイロンとジャガーの姿が…。頭を抱えたが、やってしまった事は元に戻せない。ボクやボクのお母さんが居たら別だけど。田嶋くんは渋々、門へ向かう事に。


 門に着いてすぐ、門番の襲撃の音で他にも居たアランの手下や、雇われたもの達が、一斉にかかって来た。そこから、戦闘がしばらく続くが、その時、田嶋くんに異変が生じる。


 「ゔぅ…」


 頭を抑え、痛みを感じているようだ。それに気づいたジャガーは、


 「田嶋さん大丈夫ですか?」


 と、寄ってくる敵を追い払いながら田嶋くんの所へ駆け寄る。


 「だ、大丈夫…」


 引き攣る笑顔に、ジャガーは心配して、


 「体調がすぐれないんでしょうか? こんな雑魚達、僕とヴァイロンで片付けるので、隙を見て晴美さん達を探して来てください!」


 と、気遣った。だが、


 「いや、僕もやるよ。助けてもらってばかりだと、来た意味がない」


 と、強がる田嶋くんに、それ以上の言葉をかける事は出来ず、戦闘が続いた。田嶋くんは体の調子が悪い事で、本領発揮とまでは行ってないが、特訓のおかげで、まだ戦う事は出来た。ヴァイロンも、田嶋くんの様子を察知し、ヴァイロンとジャガーは、田嶋くんの負担を減らす為、戦闘のスピードを上げていく。


 やっと戦闘が終わった時、田嶋くんは歩くのもやっとの状態だった。


 「田嶋、どうしたんだ? さっきまでは元気だったじゃねぇかよ」


 ヴァイロンは、田嶋くんに肩を貸し、ボクとサクが居る所に向かってゆっくりと進んでいく。ジャガーは、前後左右の異変がないか、確認しながら、田嶋くんとヴァイロンの後に続いて歩く。


 「さっきまでは、フワフワした感じだったんだけど、凄く頭が痛くて。なんだか、外から身体を圧迫されるような感覚なんだ」


 「それって…」


 田嶋くんの言葉にジャガーがハッとする。


 「もしかして、その異変、ゲートを通った時からですか?」


 「そうなんだ。ははっ。まだ僕が弱いからかな…」


 すると、ヴァイロンと田嶋くんの身体をガシッと鷲掴みにして、歩くのを封じるジャガー。


 「な、なんだよ! 早く行かねーと」

 「どうしたんですか? ジャガーさん…」


 振り返った2人は、ジャガーの深刻そうな顔を見て、何を言い出すのかと、冷や汗がたらりと落ちる。


 「田嶋さん、それは強い弱いの話じゃないです。昔、地球からきた人間が、アニマルンに来たことがあったんです。いきなり目の前に現れたゲートが何か分からないけど、興味本位で入ってしまったと。その人間は、その日のうちにお亡くなりになられました」


 「え…」


 2人の戸惑う声が揃う。


 「今後そのような人間が入って来た時に、同じ過ちを犯さないよう、僕達は調べました。すると、アザーの氣が原因だと分かりました。能力の無い人がアザーにくると、その氣で押しつぶされてしまうのです。田嶋さんが無能力者だと早くに気づいていれば、アザーに来る事を止めれていたのに、本当に申し訳ない…」


 「そ、そんな… いやいや、頭は痛いけど、まだギリギリ歩けるし… ロンさんも、そんな事言ってなかったし… じょ、冗談はやめて下さいよ、ジャガーさん」


 田嶋くんは嘘だと信じたがっていたが、ジャガーの反応を見て、だんだんと冷や汗が増えてくる。


 「おい、田嶋汗やばいぞ! 本当にこのままいけんのか?」


 焦るヴァイロン。


 「ロンさんとは、元王様の事ですよね。普通の人間がアザーに来て生きられないというのは、きっと知らないはずです。人間が来たことも、アニマルンだけで、留めていましたから」


 真剣な表情のジャガー。


 「何で報告しなかったの。他にも地球の人間が来ているかも知れないのに…」


 どんどんと顔色が悪くなる田嶋くん。


 「地球の人間が来た事は報告出来なかったんです。ロン元陛下は、他の星との交流を望んでいましたが、アザーの大半の人々は、他の星との交流は避けたがっていました。逆の立場で考えてみてください。地球へ他の星から来た者がいたらどうですか? いわゆる宇宙人です。何をされるのか分からないと不気味がり、怖がりますよね。それはアザーも一緒でした。僕みたいに人間とチーターのハーフですら、毛嫌いしている人が多かったですから…」


 「じゃ、じゃあどうすんだよ。このまま地球に帰すってのかよ! そんなのあんまりだぜ。田嶋は、無能力なのに、このスティック一本でアザーにやってきたんだぞ? その辺の奴らの度胸とは全く違う」


 さらに真面目な顔になる、ジャガー。


 「はい、僕もそう思います。田嶋くんは、晴美さんとサクさんの為に、アザーへ来たのですから。なので、応急処置だけはしましょう」


 「応急処置?」


 ヴァイロンと田嶋くんの声が揃う。揃った事に少し照れ合いながら、ジャガーの方へ目を向けた。


 「はい。ヴァイロンさんお得意のイナズマを田嶋さんに振りかけて下さい」


 「え、そんなのしたら田嶋死ぬぞ?」


 目が点になるヴァイロンと、震える田嶋くん。


 「いえ、ただイナズマを当てるだけではなく、その内側に僕の炎で身体を温めながら行うのです。身体を温めて血流の循環を良くして、イナズマの電流で身体の電気信号を促します。治るわけでは無いですが、一度状態が落ち着くとしばらくは大丈夫でしょう。これは、アニマルンで研究していただけで、実際に効果があるのかはやってみないと分かりませんが…」


 田嶋くんは、拳を作り、グッと力を入れる。


 「このままではみんなに迷惑がかかるかもしれないのは事実です。その場しのぎでも、後のことはその時に考えます。思いっきりやってください!」


 手を広げさぁ来いとのポーズをする田嶋くんに、少し戸惑いながらもヴァイロンとジャガーは目を合わせ、互いの能力を田嶋くんに放つ。


 田嶋くんの体の周りに体温より少し高い温度の炎とイナズマの電流が纏い、少しずつ顔色の悪かった田嶋くんが元気を取り戻す。能力の放出を止めて、田嶋くんに様子を伺う、ヴァイロンとジャガー。


 「なんか変わったか?田嶋」

 「田嶋さん大丈夫ですか?」


 「す、すごい…。これが一時的な物とは思えないぐらいスッキリしました」


 田嶋くんは元気を取り戻し、2人にお礼を伝える。


 「よし!」

 「よかったです…」


 後のことが心配だが、田嶋くんもやる気に満ちている事で、2人は心配の言葉はかけず、田嶋くんが元気なうちに、全てを終わらせようと決意した。


 それから、ボク達の囚われている所を見つけ、助け出してくれたという話だったが…



 「あれ… 晴美さんはどこに」


 ジャガーとサクが話に夢中で、ボクが置いて行かれている事を気づいていなかった。


 「わりぃ、はるみ! ちょっと早かったかー?」


 遙か遠くに居るボクへ、声をかけるサク。そこでボクは思い出す。テレポーテーションを使えることを…


 「テレポーテーション!!」


 一瞬でサクとジャガーの元へ辿り着いたボクに、使えるなら早く使えよと呆れている。


 「で、ジャガーがアニマルンに住んでいて…続きは?」


 「おい!まだそこかよ!」

 「いつから離れて走っていたのですか!」


 と、さらに呆れる2人に


 「戦う前からそんなに冷たくすると、怪我しても治してあげないからね。フンッ!」


 と、ボクは拗ねた。我が子の機嫌をとるように煽てられ、褒められ、機嫌を直し、王様の元へ向かうのだった。


 「そういえば、ジャガー、宮廷のどこに王様がいるのか知ってるの?」


 ボクは、ふと疑問に思ったから、聞いたのだが…


 「え?知りませんよ?」


 「え…」

 「え…」


 ボクとサクは幽霊を見てしまったのように、ジャガーを見る。


 「えーーーーーーーーー!! どうするのこっから」


 と、先が不安になるボクとサクだった。

読んで頂きありがとうございます。

引き続き宜しくお願いします。

応援して頂けると幸いです。

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