第四十三話 お手柔らかに
ガシャンッ!!
「アラン、お父さん達に何をした」
勢い良く開かない柵を押して、低く静かなる怒りを露わにしたボクだった。
「もう貴方のお父様とお母様ではないですよ。貴方のことなんかとっくに忘れているんです。どうですか? ここまで頑張って来た時間と労力の無駄になった気分は」
悪役に相応しい表情で、ボクに勝ち誇ったようにするアランに、サクは感情を表に出さずに冷静に話し始める。
「おい。田嶋はずっとお前のこと信用しきれなかったみたいだったが、少なくとも俺は信用しようとしていた。別に裏切られたとしても、信用した奴が悪い。だが、何故ここまでして俺達をここに連れて来たかったのかが、分からない。教えてくれ」
アランはボク達を馬鹿にしたような表情で、
「まぁ、信用するかしないかは、貴方達に委ねましたからね。何故ここに連れて来たかったか。それは、このはるみさんの表情を見たかったからですかね」
ボクは目の裏側まで回るほどに、アランを睨みつける。
「あぁ、そうか。こんな事の為に、時間をかけて居たのか」
「サク、何その言い方…」
こんな事と言われ、ボクはサクに幻滅するところだったが、
「はるみは黙っていろ。後で俺がお前の痛みまで全部やり返してやるから」
と、酷く怒っている声をしていた事で、ボクは納得した。
「そんな事と思うかもしれませんが、人によって時間の価値は違います。貴方の物差しで決められるのは困りますね」
「まぁ、そうだな。だが、無駄な時間を過ごしたのはお前の方だと証明してやる。覚悟していろ」
「どうぞお手柔らかに」
それからアランは、ボクの両親を連れて何処かに行ってしまった。
「あーーー、早く出ないと! この中でじっとしれられないよ!」
柵の中でボクはぐるぐると歩き回りながら、苛立ちを抑えられないで居た。
「ジタバタしていても何も変わらないぞ、はるみ。田嶋がいるだろ。アイツならきっと俺達の居場所を見つけてくれるはずだ」
田嶋くんとの約束を思い返し、ボクはその場でポスんっと座った。だが、何もせずにじっとしているのは退屈だ。ボクがトランプを編み出し、二人でババ抜きをやり続けた。
「ゔー… これで78回目… 田嶋くん本当に来る? そもそも田嶋くんは巻き込まれた身だし、このまま地球に居ようってなってないかな」
ババ抜きのやり過ぎで、ボク達は随分老けた。
「田嶋は絶対に来る… アイツは来る奴だ…」
倒れるようにボク達は寝転び、空気を入れるための小さな窓を見つめた。
(ん? 目が見える気がする…)
退屈過ぎるせいか、見えない物が見えてしまったのかもしれない。
「あお…さん、さ…さん」
(ん?何て? 声が小さすぎてちゃんと聞こえなかったが、今ボク達の名前を言われた気がするけど)
「蒼井さん、サクさん!」
小声だが、次はハッキリと聞こえた。
「田嶋くん!!」
「田嶋!!」
神様の様に見えた田嶋くんに向かって、サクお得意の超パワーで、ボクはファイヤー・フィーバーで窓の中にある仕切りの様な物に引っ掛け、顔が棒にめり込むほどに押し付け、ぶら下がった。
「シー! 大きい声を出すとバレちゃうよ。今から助けに行くから、じっとしててね」
ボク達は、幼稚園の園児の様に、はーいと手を挙げ、大人しく待つ事に。田嶋くん以外にも声が聞こえるが、その声は一体誰なんだろう。
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