第三十六話 そういえば…
初めて通った時は、閉まっているところが多く人も少なかったが、今では人も増え賑わっている。ゴウルに聞くと、ストップされていた仕入れ先に服などを売ると、また再開してくれたらしい。これで分かったことは、ジャガーの一件と言い、今回の仕入れの話だと、きっと宮廷付近の者以外は、貧しい暮らしをさせられているという事だ。今すぐにでも全ての人を救ってあげたいが、それもバレれば全て没収されるだろう。両親を助ける目的もあるし、めちゃくちゃな王様を早く止めにいかないとだけど…
グゥぅぅーー…
空腹には勝てない…。腹ごしらえしてからじゃないと、戦さには行けないな。ん? 自分で出せるからいつでも食べれるじゃんって? 違うのよそれが。自分で作ったご飯よりも人が作ったご飯が美味しく感じるのと同じ。ボクが編み出したご飯よりも、人が作ってくれたご飯が美味しいの。でも、よく見ると何だか色が凄く個性的…
「こ、これなんですか?」
「ナポリタンだよ! 美味しいよ〜、食べていくかい?」
店の外でボクとサクと同じ様に、ガラス越しに、メニューを見ている人へ聞いたが、これがナポリタン? ナポリタンってケチャップで味付けされているパスタだよね…。 これ、紫だよ? 何から作ってるのこのソース。
「あ、あの…考えます…」
人が作ったご飯が美味しいと言っても、さすがに茄子ぐらいしか紫の食べ物見た事ないし…。もう少し店を見て回ろう。
次に見つけたのは、スンッ!とフラッシュバックしたのだが、
「これ、たこ焼き、かな…? 赤い魚を生地に包んで焼くって、ステルスの能力を使っていた『タコヤキ』が言っていたのって、これ?」
「そ、そうだな…」
何とかなる精神のサクも流石に驚いているようだ。だって、赤い魚を包んでると聞いたけど、赤い生地で包んで青いソースで食べるなんて聞いてない!!
タコヤキはテイクアウトができるみたいだが、その店主がまさかのボウルだ。これは買わないと言いづらい…
「お代はいらないよ。タダであげるから一回食べてみてよ。美味しいよ!」
ボクとサクは冷や汗をかきながら、目を瞑って口に頬張った。だが…
「お、美味しい!! え、たこ焼きじゃん!」
「美味いな! 確かにこれはたこ焼きだ」
意外に美味しかった。日本のたこ焼きと全く同じでは無いが、これはこれでアリという感じだ。お腹が空いていたボク達はすぐに完食。その後、数日の間に、もうすぐこの街を出ていくボク達へ、この街、アザーの事を教えてくれた。
例えば、魚や、野菜。名前は地球と同じ名前の物が多い。ただ、色が全く違う。だから、見た目がファンキーになっていたのだと、納得させられた。でも、星が違うはずなのに何故、同じ名前の食べ物がこんなにありふれているのか。それは…
「私達がまだ若い頃は、地球へ宇宙旅行するのが主流だったんだ。今の若い子達はもちろん、私たちも、今は行くことも許されていないんだけどね」
と、いうわけだ。ゴウルは幼い頃に家族で何度か地球に来た事があるらしい。にしても、地球の食べ物、主に日本の食べ物をアザーに活用されているらしい。色が違うのも、空気自体が地球と違うおかげで、色が地球の食べ物と変わってしまうみたいだ。
そしてこの街の名物は、『オムライス』らしい。初めに見た、ナポリタンが置いている店にあり、後日見せてもらったが、黒い卵に、紫のソース。きっと、トマトがこの星では紫の食べ物なんだろう。ボクはトマトが赤いのはこういう者だと先入観があるからびっくりしたが、アザーではこれが当たり前なんだ。
後は、お手洗い問題。これはアザーに来てから一番驚いた事だ。アザーにはトイレの便座やトイレスペースが無い。トイレ中のみ透明人間になり、排泄した物は違う時空の、排泄処理場へ送られる。そこには住んでいる者が居ないか確認すると、無人でかなりの熱帯地域らしい。誰もそこには行った事も、熱すぎて行く事もできないが、そこで蒸発され、最後は土になり、溢れかえってくる事は無いそうだ。初めてアザーに来て、人が通っているところで用を足すのは気が引けた。透明になり誰にも見られないが、流石にね…。
お手洗い中に、透明人間になる事は、アザーの人間にはもともと備えられているらしい。スマートフォンの様に電話やメールがすでにセットされているのと同じ。衣食住の中で大切な一つだから、備えられているみたいだ。異星文化はまだまだありそうだが、王様を倒してから詳しく聞くことにしよう。
アザーに来てから3週間が経った。ボクとサクの調整が終わり、スノーダイアリーに住んでいる人達とも名残惜しくなってきた頃、この街を出る事を決めた。ボクとサクがアザーに来た事がバレなかったのも、この街の人達のおかげだ。この感謝は、結果で伝える、そう伝えて、スノーダイアリーを後にした。…が、田嶋くんが来ていない。後から行くと言われたが、なかなか来ない。乾くんを止めた後、少し休んでから来るということなのか? 心配だ…。
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