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第二話 捕獲対象


 「はるみさん、私はあなたのお父様とお母様には大変お世話になった者です。アランとお呼びください」


 アランと言う男は紳士に、右手を胸に当てお辞儀。ボクは父と母という言葉を聞いてゾクゾクした。


 「お父さんとお母さんの事を知ってるの? じゃあ今はどこに居るのかも…」


 アランは真剣な眼差しになる。


 「はい。今はアザーという星にいます。あなたを守る為にこの星を離れたのですが、上手くは行きませんでした。なので、はるみさん。あなたにも協力してほしいのです」


 「協力って、何をすればいいの?」


 「これからアザーから来る悪から、この星をお守りください」


 父と母が帰ってくると期待した矢先に、予想外の答えが返ってきたボクは情緒が安定しない。


 「この星を守る!? 1人来ただけでこの辺りこんなボロボロになっちゃって、私1人で守るって無理があるよ」


 落胆するボクの背後から声が聞こえる。さっきのスウェットムキムキ男だ。野次馬のようにズカズカとこの場に入ってくる。


 「なんだ、なんだ? この展開も面白そうじゃねえか! 俺も混ぜてくれ!」


 (さっきから気になってたけど、この人何者? 店で見た時との印象が違いすぎて、人は見かけに寄らないってこういう事なんだな)


 「はい、あなたも協力してください。サク様」


 表情を変えず、冷静なアランにスウェット男が驚く。


 「ぉえっ? 俺の名前なんで知ってんの?」


 「それはその時が来たらお話しします」


 (スウェットの人、サクって名前なんだな。って、協力? 今日初めて会った知らない男と協力なんかできるはずないよ)


 「いやいやいや、コンビニ店員と客だよ? このミッションスケールデカすぎない?」


 呆れ顔のボクにサクは、肩に手を回し…


 「いーじゃねぇか、姉ちゃん。名前は〜… はるみって言ってたな。はるみ、よろしくな」


 青年の様にクシャッと笑うサクを見て、ボクは思わずドキッとしてしまった。

 (思ってたより若い? なんかアランといい、サクといい、顔面偏差値高く無いか?)


 「あと、言いそびれていましたが、アザーから来る者は皆、はるみさんを捕獲対象としてやってきます。どんな手を使ってもいいので、はるみさんを守らなければなりません」


 「へ!? それって、私がここに居る事で知らない人たちに迷惑がかかるって事だよね。じゃあアザーに私が行けば済む話じゃ…」


 アランに詰め寄るボクを、肩に手を当てゆっくりと引き離す。


 「だめです! 今のアザーにあなたが行けば、結局この星は終わります。なので、サク様には、はるみさんの護衛も兼ねて協力してほしいのです。私はアザーにもやる事がありますので、宜しくお願いします」


 「護衛かぁ! 面白そうじゃん! 任せとけ!」


 と、ウインクするサク。


 (あのパワーを見たら安心できそうだけど、なんか軽過ぎてちょっと嫌だな)


 「なんかよくわかんないけど、こんなめちゃくちゃになった状態で、今後どう生活すれば…?」


 「はるみさんが、直せばいいんです」


 「は?」


 目が点になるボク。


 「本当に有り余るほどの能力を持ちながら、何も知らないんですね」


 「有り余るってそんな何でもできるわけじゃ無いよ。私は頭の中で思い浮かべた物を出す事しかできないし。あとはちょっと人の思考を読めるだけで…思考読むと次の日寝たきりになるから何年も使ってないけど。この状況を直せるのはお母さんだけだよ…」


 「そうです。はるみさんのお母様のタイムレボリューションが使えればできます。」


 「じゃあ、お母さんが帰ってくるの待つしか無いね…」

 嘘泣きのグスグスッ…

 (父と母を早く連れ帰って来いアラン)


 「いえ、はるみさんがやってください」


 (この人何言ってんだ?)


 「はるみさんは、想像したものを出せるのは、一度見たものを発動できるという事です。試しにヴァイロンの能力を出してみましょう。私に向かって放ってください」


 アランは両手を開き、いつでもどうぞと言う様な感じだ。


 「あのイナズマの様なやつだよね。名前知らないから発動できないよ。もしできたとしても、アラン丸焦げになっちゃう」


 「名前ははるみさんが考えてください。はるみさんが使うことによってフィルターがかかるので、ヴァイロンとは別物です。私の事は気にしなくて宜しいですよ。丈夫なので」


 「丈夫とかの問題じゃなさそうなんだけど… 名前かぁ… んー… よし、やってみる」


 ボクはアランに向かって手を伸ばし、目を瞑る。


 「ちぢれ麺サンダー!」


 アランに向かってイナズマが鋭く走る。


 「本当に出た… って、ちょっ、やっぱダメだ! 逃げて!!」


 思いの外、出力が大きすぎる。自分で発動しときながら叫ぶことしかできない。


 「はるみさん!! 今です! お母様の能力を使ってみてください!!」


 アランは焦る表情はしてないが、ボクがまだ知らない炎が目覚める様な、すごく大きな声だった。


 「あー、えーとえーと、なるようになれ! タイムチェーンジザ・ワールド!!」


 ツーーーーーー…


 必死になって目を瞑っていた目を開けると、

 「あれ、どうなった?」


 アランを見るとイナズマにまだ当たる前で、動きが止まっている。後ろを振り向くと何故か腹を抱えてサクが笑って静止している。


 「時間を戻すと言うより、時間を止めちゃったのか。 ん? どうやって戻すんだ?」


 ボクは顎に手を当てて、アランとサクの間を行ったり来たり。


 「あー、思い出せー、思い出せー。お母さんはどうやってた。んー… はっ!! 何かぶつぶつ言ってからタイムレボリューションをかけていた気が…」


 息をスーッと吸い、大きく吐き、手を天に向けた。


 「時よ。 ボクがちぢれ麺サンダーを放つ前に戻れ」


 $×*%€+÷×○…


 次に目を開けると、ボクがアランに手を伸ばしているだけで、アランは無事だ。恐怖の後の安心で、ボクは力が抜けて崩れ落ちる。


 「はるみさん。成功しましたか?」


 アランはボクの近くに寄ってくる。


 「はい…」


 (疲れた… でも、時間を戻せたのにこの人何で時間を戻す前の話を知ってるの…)


 「はるみさん、後もう少し頑張れますか?」


 「え…」


 ボクは辺りを見渡す。


 「あ、そうか。これが本題だったか。分かった、やってみる」


 膝に手をついて重い腰を挙げ、手を天に掲げる。


 「数々の被害を、綺麗な状態に戻せ。 ターイムチェンジ!!」


 崩れた建物や地面、草木などは星が舞い降りる様に復元されていった。


 「あれ? 今回は時間が止まらずに、対象のものだけ元に戻った。はて? どういうこと?」


 「はるみさんそれは、初めに言ったのはタイムチェンジザ•ワールドと言っていたので、世界ごと時間を操れると言う事です。二度目はタイムチェンジ、時間を変えるだけなので、特定のものを巻き戻す事ができるからです」


 「あー、なるほど。あの時はテンパってたから口が先に出てたからねぇ。と言うことは、名前が技に影響するってことだね。確かにハワイアンビームもハイビスカスがビームの周りにでてるわ」


 納得しているボクの後ろから笑い声が聞こえてくる。サクだ。


 「あはっ、あっはっははは! ネーミングセンス無さすぎて逆に笑えんだけど。ハワイアンビーム? ハワイアンとビーム全く関係ねぇじゃん」


 サクを睨みつけるボク。


 「今日初めて会った人に笑われる筋合い無いんですけど。つーか、ボクだってお父さんに適当に派手にいけとしか教えられてないんだから、仕方ないだろ」


 笑いが収まってきてたのに、ボクを見るとまた笑い出すサク。


 「チッ。腹立つ。ハワイアンビーム」


 ボクは棒読みでビームを打ったが、当たる寸前で溢れそうなぐらいの筋肉を強化し跳ね返すサクだった。


 

読んで頂きありがとうございます。

引き続き頑張っていきますので応援して頂けると幸いです。

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