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わたくし
私は生まれてこのかた、自分の姿を恥じた事はございませんでした。
しかし 鏡に映る自分の姿を見て、初めて”この姿を変えたい”と思ってしまったのです。
それは、お嬢様の12歳のお誕生日の際、ご実家に御呼ばれされたことがきっかけでした…
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小柄で美しいお嬢様は、それとは対照的なとても大きく古ぼけた屋敷にお住まいになられております。
使用人は、お世話係専用ロボットの私だけです。
私の日々は、お嬢様のお世話と屋敷管理が主でございます。管理と一口に言っても様々でございまして、外壁にまとわりつくツタを引きちぎったり、屋敷周りの大きな木が屋敷にぶつかるのを防ぐために、定期的に枝を打ち落としたり、雨の日に困らないように晴れた日には屋根の修繕をしたり、廊下の腐った部分を補修したりなど、その仕事は多岐に渡ります。
なぜ、お嬢様と呼ばれるその美しい人が このようなみすぼらしい屋敷なぞに、古い旧式ロボットと住んでいるのか?疑問に思った方も多いでしょう。それでは、私のお嬢様についてご紹介させて頂きます。