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富士山 オッサン ロードバイク  作者: 入江九夜鳥
1.初日 移動と富士山、そして余計な思いつき
3/16

1-1. 寝不足と輪行袋と新幹線

今回三話目投稿です。

最初のお話からお読みください。


 

 休暇前の仕事をつつがなく終えて、早めに就寝。

 9時に多治見発の電車に乗れば、ざっくり14時ごろにホテルに到着できる予定……のはずが、早速トラブル発生でございます。


 寝れねぇ……!


 ここに来てまさかの不眠状態。

 肉体的に疲労しているというのに、年に何度かある『なんか知らんが何故かうまく寝付けねぇ』が発生してしまった。

 いうまでもなく睡眠不足はパフォーマンスに影響する。2泊3日の1日目は移動日とは言え、寝不足なんて困るわけだ。

 部屋の空気を入れ替えたり軽くウォーキングしたりストレッチしたり、ようやく寝付けたのは午前4時過ぎ。

 午前7時起床の予定が見事に狂い、8時半起床でございます。睡眠時間は4時間ちょっと。

 

 やっちまったゼ☆彡


 とは言え新幹線は自由席でチケットをとっているので、到着が多少遅れるくらいで体調以外の問題は無し。その体調だって今日は移動日なので大きな問題にはならないはずだ。……ならないよね? ね?

 そして名古屋発の東海道新幹線なんて10分おきに発車してるし。本数多すぎでしょ、いくらなんでも。

 さておき着替えて朝飯食べて準備をし、多治見駅に向けてロードバイクにまたがりいざ鎌倉。いやさ富士山。




.


  

 ここで問題。

 

 Q.自転車って電車に持ち込んでいいんけ?


 たまに訊かれます。

 そして答えは


 A.条件付きで可


 なのである。

 最近ではサイクリングコースを整える自治体も増えてきて、区間や期間限定のサイクルトレインなんかも増えてきた。そのまま自転車を乗せて良い列車のことなのだが、それはさておき。

 実はロードバイク、簡単に前後輪が取り外せる構造になっている。その状態で輪行袋という専用の袋に入れれば電車や新幹線に持ち込んで良いのだ(地方の私鉄だと不可の場合あるかも)。

 多治見駅に到着した私は早速ロードバイクの解体を始めた。

 慣れた人ならば十分少々で完成する輪行袋状態だが、私はヘタクソなので苦戦しながらもなんとか完成。

 ロードバイクが自転車として非常に軽いと言っても装備重量で10kgほどある。


「重てぇ……」

 

 輪行袋の紐が肩に食い込んでふらつきながらも、私は意気揚々と9:58発名古屋行きの快速列車へと乗り込んだ。



 

 

 東京、大阪、横浜。

 それらに次いで名古屋は日本第四の人口232万人を誇る大都市である。

 中京という言葉が示す通り、東京と大阪の中間に位置することから巨大な経済圏を形成しており、そのセントラルステーションである名古屋駅は平日でも行きかう人々でごった返していた。旅行やビジネスにショッピングと、駅の利用者の半分以上が名古屋市民以外なのではないだろうか。

 その中で輪行袋を抱えた私は、非常に邪魔くさい存在だったことだろう。

 仕事の異動で長崎から三重、そして岐阜多治見へと異動して早三年半。名古屋駅は何度も訪れているが未だに構造を理解できていない。

 

 JRは東海道新幹線、在来線は東海道線・関西線・中央線。

 接続で近鉄、名鉄、あおなみ線、地下鉄東山線、地下鉄桜通り線。

 

 それぞれで出口が複数あるので、毎度のように一瞬で私は自分の位置を見失っていた。

 これに加えてゲートタワーモールだったりPass'eだったりエスカだったり名鉄百貨店だったり商業施設を加えればもう無理だ。迷路だとしか思えない。

 よくわからなかったから割と最近までナナちゃん人形がどこにあるのかも知らなかった。

 名古屋でこれなのだからかの悪名高き大阪の梅田駅だと、私は一体どうなるのだろう。冗談抜きで遭難するかも知れない。

 


 そんな巨大な駅で道に迷った私だったが、そこは名古屋駅側も慣れたもの。

 無数にある案内板に従って歩けば問題なく在来線から新幹線乗り口へと辿り着くことができた。

 正直なところ、何であんな沢山の案内板があるのだろうと最初は首を傾げたものだ。だが今なら理解できる。

 

 私のようなおのぼりさんが、文字通り五万とやってくるからだ。それも毎日。

 そして五万の遭難者なんて名古屋駅側だって対応しきれるワケがない。

 

 なるほど合理的な理由があるものだ、と私は感心した。

 となれば今後も駅構内を覚える必要などないな、と次回も道に迷う気満々で新幹線ホームへと向かう。

 実は名古屋到着後の最短接続は4分後だったのだが、道に迷うことを見越して指定席は取らなかった。早く到着することに越したことは無いが、寝坊したのだし、そもそも観光はできればラッキーくらいの話。移動日と割り切れば焦る必要も全くない。

 

 これも長崎にいた頃には知らなかったことだが、東海道新幹線も各駅停車のこだま・快速ひかり・特急のぞみの三種類がある。

 初めて自分で新幹線のチケットを取ってよくわからないまま乗り込んだのがこだまで、駅に停まる度に次から次にのぞみにガンガン追い越されるのを車窓から見て驚いたものだ。

 しかしそれも過去の話。

 今ではちゃんとのぞみが名古屋から小田原までぶっ飛ばすことも知っている。

 静岡県が丸々スッ飛ばされることも知っている。

 静岡にのぞみは……無いんだ……ッ!

 はい。静岡の方、ごめんなさい。 

 静岡にひかりあれ……ッ!

 はい。静岡の方、ごめんなさい。

 

「俺もすっかり都会に染まっちまったナ……」


 などとカッペ丸出しの態度で次発のこだまに乗り込んだ。都会に染まった男であれば、駅構内で道に迷うことは無いので最短接続に間に合うのという事実はこの際気にしないことにする。都合の悪い事はとっとと忘れる。これがストレスの多い現代社会で生き抜くコツなのだ。

 ちなみに自由席を選んだ理由はもう一つある。

 新幹線の各車両最後部座席と壁の間はちょっとしたスペースがあり、そこに大型の荷物を置いて良いことになっているのだ。

 輪行袋に入れたとはいえロードバイクは明らかに大型の荷物になる。そんなもの頭上の棚に置けないし、席後ろのラゲッジスペースの開いている座席を探したいがために自由席を選んだのだ。

 乗り込んだこだまは、乗車率90%といった混雑具合だ。ビジネスマンや旅行客に加えて、ちらほらと外国人の姿も見える。

 それでもラゲッジスペースを確保することができた。最悪荷物を抱えてデッキで過ごすことも考えていたため非常に幸先の良いスタートだ。

 

 寝不足カッペを乗せた新幹線こだまは定刻通り名古屋を出発した。

 言っておくが、上下線を間違えるなんてベタなことはしてませんので悪しからず。

 初めての新幹線でやらかしそうになったのはここだけの話。


 

 

ここまでお読みいただき、どうもありがとうございます!!


この作品は最終話まで投稿予約済となっております。


クスッと笑ってしまった方は、ページ下部にある「いいね」「ポイント」をぜひお願いいたします!またブックマークと感想を頂けましたら作者の励みになりますので、是非お願い言いたします!!


それでは次回、ご期待ください!!

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