繊細な鈍麻とレーザービーム
お疲れ様です。このエッセイと出会っていただきありがとうございます。少し短めですが、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
それを観たとき、ゾッとした。怖いとか鳥肌が立つとか、そういうものとは別のビリッとした感覚がした。こんな震える表現があるのかと、精神が一瞬の間に一色に染まるのを感じた。別に何色でもいいのだが、とにかくある一定の幅の中に収まった、万人が共通認識を持てるような鮮烈な色に化けた。
動画サイトに投稿された、あるアーティストのライブパフォーマンス映像を観た。再生してから2分36秒後。視線、口角、指先、射貫くような眼差し、纏うオーラ。完全に、私を掴んだ。掴んで、振り落とした。映っていたのは2秒にも満たない。プロだから、という言葉では到底片づけられないその表現力。感情が深さと奥行きを膨らませながら処理されていくのを自覚した。
そのとき以来、私はその動画を開いていない。何度も対象に触れると、あの「感覚」が鈍麻していくような気がしてならないからだ。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも楽しんでいただけたのなら作者として最上級の喜びを感じます。