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犯罪者がいる

 うん、裏って怖いね。

 ちょっと怪しげな情報は探ろうとすればそれなりに出てくる。

 正当な手段では集まらない情報だが。そして正当な手段で集めた情報でなければ証拠として提出することもできないけど。

 俺としてはルーファスとレオナルドが伝手をたどって集めてきた情報に思わず眉をひそめた。

 というのももともとは母方の祖父母の所業なのだが。

 母方の祖父母、子爵家だけど。ちょっと黒い噂のある子爵家だったようだ。

 身分の違いもさることながら、そうした背景もあって父方の祖父母はあの母親との関係を歓迎しなかったらしい。何とか引き離そうと同格の先妻さんとの結婚をごり押ししたそうだが。

 普通の親ならその時点であきらめて別の結婚相手を探す。

 しかし、母方の祖父母はあきらめなかった。母親を愛人としてあてがい父親に張り付かせた。そして父方の祖父母が亡くなってすぐ先妻さんも亡くなっている。

 これ、意味深すぎないだろうか。

 マジでやらかしたかあの両親。

 鳥肌が立ってきたがそれでも状況を把握しなければならない。

 祖父母の黒い噂に関してはあんまり聞きたくない。領地の娘さんが女中として雇われたと思ったらそのまま行方不明になり、そして数年後娼婦をしているのを知り合いに目撃されたとか。

 怪しげな薬を領地で栽培しているとか。

 祖父母の死後、その財産は母親が継いでいたはずだ。

 母親は一人っ子だったから。

 ここも祖父母の異常さが感じ取れるところだろう。普通一人娘を愛人なんかにしない。たとえそれがかなり格上の貴族だとしてもだ。

 跡取り息子がいるか、それとも複数娘のいる家ならそれもありえなくもないのだが。

 今までおじいちゃんおばあちゃんと呼んだことは一度もない祖父母だがこれから先もそんな呼称で呼ぶことは無いだろう。

 はっきり言って諸悪の根源だ。

 そして、その祖父母の悪事をあの母親が引き継いだ可能性があるってのがまた。

 どんだけどす黒いんだろう。

「まあ、元気出せよ」

 テーブルに突っ伏した俺を慰めるようにルーファスとレオナルドが頭を撫でてくれる。

 野郎に撫でられてそれでも和むのが悲しい。

「たださ、問題はどうやってこれを告発するってことだよね」

「ちょっと洒落にならん気がする。それにこういうことにかかわっていると、殺し屋とか雇えるんじゃねえの、金に目がくらんだ奴らは親子の情なんて簡単に蹴り飛ばすぞ」

 レオナルドの言うことは薄々俺も感じていた。

 父親は言うまでもなく、母親も俺が自分の人形ではないということに気づいたときは迷わず消すつもりだろう。

 俺が両親を愛していないのと同じように両親も俺を愛していない。ありのままの俺を愛するなんてありえない。

「まあ、それに、家が多少ダメージを受ければと思っているかもしれないけど、ダメージを受けすぎてもダメなんじゃないの」

 ルーファスの言葉に俺は頷いた。ただ、俺の脳裏にちょっと利用できそうな者が浮かんでいた。

 我ながらあれを利用しようとは。

 だけど、まあ、俺の望み通りになることは間違いない。

 俺以外の家族にとっては望み通りにならないけれど。

「ありがとう、何とかやってみるよ」

 俺は二人に礼を言った。なんだかんだ言ってもここで借りを作ったし、いつかは返さなければならない。そのためにも作戦は成功させよう。




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