死んだ目をした俺たちは
翌日学園で俺とルナ嬢はそれぞれ実家の様子を報告しあうことになった。
「あのさ、うちの母親が盛り上がっているだけだと思いたいんだけど」
俺は頭痛をこらえながらそう言った。
「その件なら、うちもね」
ルナ嬢の目が死んでいた。
「うちねえ、お父様がお姉さま方をいろいろ比べて優劣をつけるの、双子でどちらか優秀な方に家を継がせるって言って」
「ああ、ありそうだな」
「そうなの」
ルナ嬢は深いそれは深いため息をついた。
「問題はね、そのプレッシャーがディアナお姉様にはまるで通じず、セレスお姉様だけにただかかっているってことなのよ」
ルナはそう言ってまとめられた銀髪を振り乱す勢いで首を振った。
「ディアナお姉様はいわゆる天然ってやつよ、お父様が何を言おうとお父様ならそういう厳しいことを言うのも当たり前って受け流してしまうの、でもセレスお姉様はディアナお姉様に勝たなければ家督相続させないって思いつめていて」
ああ、それはきつい。争っている気分なのは自分だけ、相手は自分のことを歯牙にもかけていない。
「ディアナお姉様はセレスお姉様とお父様の言葉を別の意味にとっている。そういうところ気が付いていないのよ」
「だからなんだって?」
物凄く俺にとって都合の悪いことを口走るんだろうなと俺は覚悟を決めた。
「セレスお姉様はお父様にこの縁談を進めるようにそれはもう熱心に進めていたわ。セレスお姉様はそれはもうお父様に気に入られる行動をとり続けているのよ、だからお父様はセレスお姉様を信用するかもしれない」
おい。それなに?
「セレスお姉様。あの計画を妨害しようとしたせいで私のことも敵認定されていますから、このままいけば私とディアナお姉様両方を傷つけることができる」
何それ、ひどい。
「いわゆる人が不幸になっている姿を見ることでしか自分の幸せを確認できない人ってこと?」
ルナ嬢は小さく頷く。
別に俺がディアナ嬢と結婚してもルナ嬢は不幸にならないのだが。それでもセレス嬢はそう信じたら動かないんだろう、どっかの誰かさんと同じで。
「話は聞いたよ」
いきなり背後から聞こえてきた声に俺とルナ嬢は飛び上がった。
「僕に相談しないって水臭いぞ」
ルーファスがにっこりとうさん臭く笑う。
「たいへんだね」
真顔でレオナルドとメアリアンがそう言った。この連中いつから聞いていたんだろう。
「この場合、お兄さんと共闘できないの?」
「無理、すでに共闘できるというほどコミュニケーション取れない」
やれやれと言った顔で全員ため息をついた。




