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メアリアン視点 ルナ

 あたしはクラスでもちょっと浮いている。それはいいの、わかっている。

 クラスメイトに親しい友達なんていない。だのに何で安請け合いしちゃったのかな。

 色気のない付き合いをしている男友達のお願いをうっかり聞いてしまうことになってしまった。

 デイビッド・グレイハウンド。侯爵家の次男坊という美味しい立場と、しかしその美味しいだけでは済まない状況に悩む青少年。

 それがあたしの親友。

 あたしは親友のつもりなんだけどあっちはどうなんだろうな。恋人に思われていないのはわかっているけど。

 そして、あたしが頼まれたのはルナ・シュナウザーとかいうクラスメイトの身辺調査だけど、あたしは子爵令嬢なんだよね、それであちらは侯爵令嬢。

 基本的に学園内では爵位は関係ないことになっている。だけどまあ暗黙の了解ってやつで爵位の低いものは高いものに対して自分から話しかけてはいけないという決まりごとがあったりする。

 そんなわけで直接話を聞くわけにはいかないわけだ。

 もちろんルナと親しいご令嬢たちに話しかけて人となりを聞くこともできやしない。

 ああ、厄介なこと頼まれたなと思った後だがもう遅い。

 目指せ玉の輿を狙っていた時代、ちょっと同年代の女の子と揉めたことがあったのでそれをやめて更生した後もちょっと遠巻きにされているのは変わらない。

 男三人といつも休憩時間につるんでいるからかね。

 とはいえ普通はまじめな話しかしていないのよ。

 そんなわけでルナをあたしは遠目に観察するしかなかった。

 ルナは基本的にお嬢様の鑑な物腰だった。

 おそらく家庭教師に厳しくしつけられているのだろう、まるで筋が入ったようにまっすぐ伸びた背中と滑るような足取り。

 小股で高速で歩かなければならないので実際は見た目より筋力を使う。

 貴婦人の所作って実はけっこう重労働だったりするのよ。

 ルナはお友達というより取り巻きと思われる女たちに取り囲まれている。あたしとは別の意味で友達のいない女よね。

 このクラスには侯爵家より身分の高い家がないから。結果としてルナがクラスで一番序列の高い存在になってしまう。

 そんなわけで底辺の子爵令嬢はチラ見しながら教科書をめくっていた。

 ルナは上品な美人だわ。

 まあ貴族と言ってもピンキリだけど。必ずしも美人というわけじゃない。上位貴族に生まれてもまあ残念なお顔の方も一定数いらっしゃる。

 だからあたしみたいな低位貴族の美人に需要があるわけだけど。

 男性の庇護欲をそそるタイプ。 

 何故かそのルナはあたしの顔を覗き込んでいた。

「あの、あなたはグレイハウンド家のご子息と親しいの?」

 ルナの姉がデイビッドの兄と付き合っていることは知っている。だからデイビッドと顔見知りのあたしに声をかけてくる可能性はゼロではなかった。

「第二子のデイビッド様とはたまにお話しする程度ですけれど、第一子のマキシミリアン様とはご尊顔を拝したこともございませんわ」

 あたしは正直に話した。だから貴女の未来のお義兄様の情報は入りませんよと。

「そうですの、でも」

 なんだかものすごく困った顔をしていた。


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