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落ちてくる

 俺は騎士の訓練を受けるため校舎の外に出ようとしたその時だった。

 肩に何かかすめた。

 そう思ったとき何か陶器の割れるような音がした。

 足元を見ると花と陶器のかけらが散乱していた。

「え?」

「大丈夫か」

 レオナルドが駆け寄ってきた。

「大丈夫、だと思うが」

 俺は足元の陶器のかけら、おそらく花瓶であったものを見つめる。

 見事なまでに木っ端みじんだ。だとすれば最低でも二階以上の高さから落ちてきたのだろう。こんなもんが頭に当たっていたら。

 背中に冷たい汗をかいてしまった。

「危ないな、誰だよ」

 レオナルドが上を見上げる。上の階の窓を俺も見てみたが誰もいなかった。

「逃げやがったか」

「誰かがやったのか?」

「そうじゃなかったら風もないのにこんなものが落ちてくるかよ、結構重いぞ」

 確かに散らばっている花の量を考えると人の頭ほどの大きさの花瓶だったのだろう。それに水がいっぱい入っていたなら風が吹いたぐらいでは動かないくらい重かったはずだ。

 とにかく俺は無傷だったし、花瓶のかけらと花は学園で雇っている掃除婦が片づけることになったので俺は授業を受けるために走った。

 それから、やたらと俺の周囲で物が降ってくるようになった。

 階段の踊り場で大判の図鑑が降ってきたり、吹き抜けのある場所で設置してあったトルソーが降ってきたり。

「いや、これあり得ないだろう」

 レオナルドとルーファスが口をそろえて言った。

「図鑑が落ちてきた時、落とした人が誰も来なかったよね、あんなものを落とせば拾いに来ると思うけど」

 ルーファスはそう言った。

「俺はちゃんと確かめたんだからな、あのトルソーもともと固定してあったんだ、それが固定されたところが壊れてた、わざわざ壊して落としたんだ」

 レオナルドもそう言っている。

「でも、お兄さんの仕業とも思えないんだよねえ」

 ルーファスが呟く。

「最近デイビッドの周りで物が落ちすぎだし、それを不審に思っているのは俺たちだけじゃないよ、お兄さんならもう少しうまく立ち回るんじゃないか?」

 確かに俺を一番殺したいのは兄だろうと思われるが。あからさまに俺の命を狙ってますをやらかしたら真っ先に疑われるのも兄なのだ。

 だけど、兄以外に俺に死んでほしい人間っているのか?

「とにかく、デイビッドは俺たちから離れるな、よく考えたら全部学園の中で、寮では起きてないよな」

 言われてみれば、犯人が兄なら寮でもお構いなしな気がする。


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