おまけにも劣る俺
すいませんが突然降りてきた新作です。
我が家にはおまけがいる。
俺は子供のころからそう思ってきた。おまけ、それは兄。
母親は俺が物心つく頃から兄を露骨に無視していた。父親は俺には優しかったが兄に対しては厭味ったらしく説教するか怒鳴りつけるところしか見たことがない。
両親がこんなだから、俺も兄とまともに話したことなどほとんどない。
それに俺が兄と向かい合おうものなら、双方の使用人が俺と兄を引き離すようになっていた。
我が家は、まあそれなりに名家と言われる家なんだろう。家は豪邸だし使用人もいっぱいいる。伝統ある侯爵家。
その家で、俺はそれなりに幸せに生きていたはずだった。
だけど、俺は気づいてしまった。この家の正式な跡取り、兄じゃね?
そして、気づいてしまった。
母親は俺を跡取りにしようとしているって。
俺はまじめに俺が分かる限りで状況を分析してみた。
俺の名前はデイビッド・グレイハウンド。グレイハウンド侯爵家の次男。父親は当主で、母親は後妻で入った。
兄はマキシミリアン・グレイハウンド、前妻の息子。
母親が後妻に入ったのは俺が二歳の時、つまり俺はグレイハウンド家の息子じゃないんじゃないかというわけではない。
俺は間違いなくグレイハウンド家の息子だ。なぜなら母親は愛人をしていたからだ。
先妻が無くなってすぐ俺の母親は後妻として嫁いできた。その時点で兄五歳。それなりに記憶がはっきりしてくるころだ。
そして兄の母親である前妻はこの家の同格である侯爵家の娘。俺の母親である後妻な人の出身はこの家の遠縁のかなり落ちぶれた家の出身。後妻になれたのはかろうじてそうした縁があったかららしい。
まあ、俺がこうしたことを最初から知っていたわけじゃない。
だって最初は二歳だし、二歳でここまで理解していたらバケモンだろう。
俺が幸せだったのは学園に入るまでだった。
わが国では十歳から十八歳まで貴族の子供は学園で寮生活をしなければならない。
うん、この学園で俺の人生は大きく下り坂になったわけだ。
学校の勉強は俺が家でやっていたよりだいぶ難しかった。家の家庭教師が俺は神童だ、天才だとほめちぎっていたのは単に俺の両親におべっかを使っていただけ、俺はあんまり出来の良くない子供だったわけだ。
結局俺の成績は中の下、今は勉強をもう少し頑張って中の上に入ったが、それでも上には登れない。俺はその程度の人間だ。
だが兄は違った。
兄の成績はほぼトップクラス。上にいるのはほんの一桁。たまにトップをとるという優秀さだった。
もちろん武術等も上位陣にいた。
俺はまあ、学問よりまし程度の成績しか残せないけどな。
そして、俺の周りの学友たちは徹底して俺を避けまくった。
まあ、社交界ではわがグレイハウンド侯爵家のスキャンダルと、そのスキャンダルの申し子たる俺のことは結構有名になっていた。
そんな俺に積極的にかかわろうとするやつもおらず、俺は入学そうそうボッチ確定だった。