第9話 成り捨て(なりすて) 王手飛車取編
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成り捨て
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相手陣で相手がタダで取ることができるマスに、相手の駒を取らずに成ること。
取られてしまうと部分的には駒損ではあるが、自分の邪魔駒を消去して攻めに勢いを付けたり、相手の駒を上ずらせて働きを弱くしたりすることが狙いとなる。
(引用:「将棋ドットコム」https://将棋講座.com/手筋/成り捨て.html)
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寒い日が続いたなと思えば、急に暑くなる5月の気候。
梅雨入り前で雨こそ少ないものの、天気予報でもなければ明日の予定が立てにくい。
そんな方にお勧めなのが、将棋。
天気が良ければ青空の下、悪ければ、お部屋の中でできます。
将棋はゲームなので、イメージ的にインドアと思われがちだが、主にお爺さんのコミュニケーションの場として、公園のベンチで行われたりすることもある。
主要都市では季節ごとに“青空将棋“を企画している団体もある。
お酒を飲みつつ、いろんな人と将棋を指すのだ。
その場の対戦は、基本「皆勝ちたがり」なので自分の棋力を先に示すと良い。
できれば、30代以上の「気配りができそうな」男を見つけて挑むといいだろう。
(女性は座っているだけですぐ埋まるだろうが、せっかくなら対戦相手を選んでほしいと思います)
昨日は雨で地面がぬかるんでいるかと思っていたが、ブルーシートを敷けばなんてことはない。
爽やかな風と程よい太陽の光で絶好の青空将棋日和である。
私は歩。
パチパチと近くのいろんな場所で将棋を指されている。
遊歩道で歩く人からこちらに興味を示す視線も感じる。
今日は特にイベントではなく、主催者がインターネットで告知のみをしたようだ。
多少の準備に時間をかけてはいたが、ボランティアで場を整えた。
駒として、基本的には将棋盤と駒台間のみの移動なので、見られることには喜びを感じる。
見られると褒められている感じがするからだ。
人だってそうだろう?
褒められて嫌に思うことはなかなかない。
歩は本当にいろいろな所で活用される。
私は盤面では、本当に一歩前にしか進めない。
けれども、勝負を左右するのはこの歩の使い方で決まると言っていいだろう。
基本的に
1.相手の駒と交換する
2.“と金“になる。
3.取らせて、相手の駒をずらす
4.飛車などの“利き”をガードする
をするのが私の役割だ。
今日の出番は“3.取らせて、相手の駒をずらす”にあったようだ。
私はいつものごとく駒台にいた。
大将から序盤によくでてくる手筋で3四歩と桂馬と銀をけん制する指示が来てその通りにした。
私のこの位置は相手にとっては嫌なようだ。
私も味方の駒は周りに誰もいないので嫌なのだが。
私が最前線で体を張っているうちに、後ろの方では着々と戦闘準備に入る。
相手も私をちょろちょろ見ている。
「なんだろう?」と、私も相手を注視していた。
(そんなに見られると照れますね)
と、浮かれながらも少しおかしいことに気付く。
私の方には向いているのだが、視線の先に違和感を覚えるのだ。
少なくとも、私には焦点が合っていない。
振り返ってみる。
そう、ヤツ(飛車)がいた。
実際には私の真後ろではないが、相手の歩兵を捕獲したことにより、風穴がよく通るのだろう。
視覚の妙というか、私との距離が近い相手駒は私の陣が私を通してよく見えるらしい。
一方で私の見方は私が邪魔で相手陣が良く見えない。
今の私の視点はそんな様子はよくわからない。
終わってから、他の駒に聞いたのだ。
駒はゲーム中こそ敵味方に別れるもののゲームが終わればノーサイド。
そもそも大将を何度も裏切るので、いちいち派閥なんか組んでられない。
たまに駒がたりないとかでと隣に出張することもあるけれど、そんな仲間ともうまくやれる。
駒組が済み、相手の布陣が「4二玉」と「8四飛」の場所を確認して、私の大将は2四歩と突いた。
将棋の会戦は、「歩の突き捨て」から。
当然同歩。
同飛車。
そして、相手は2三歩。
普通ならば、2八。歩
しかし、今回は必殺の手がある。
「ここだ。ここで決めるんだ!」
そして、私の3三歩成!
「き、決まった!」」
2枚の駒の連携による王手飛車取り!
今回はこれで勝負ありだ!
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ストックなく、連続投降している分、かなりのモチベーションになります。
おかげさまで7日間連続投降ができております。
皆様におかれましても、ご健康でありますように。
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