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妖怪ブクマ外しだった時~私の場合~

作者: 銀ガラス

 私は妖怪ブクマ外しです。いえ、正確には私は妖怪ブクマ外しに取り憑かれています。


 最近は自分で作品を書くようになったので、妖怪ブクマ外しからブクマをはがされる立場にジョブチェンジをはたしています。そして、もうブクマ外しには戻らないと心に誓っております。


 私の話を少しだけ聞いていってください。そしたらきっと妖怪ブクマ外しのことを少し理解頂けると思います。


 私は昔から小説を読むのが好きでした。といっても読んでも月に1冊位の可愛いものでした。流行りの小説の冒頭を本屋で立ち読みして面白そうなら買うという感じですね。


 社会人になって数年後から自己啓発本の影響で、1週間に1冊以上の本を読む事をノルマにしました。年間52冊以上です。ですが、ここには小説は含まれません。小説はあくまでも娯楽なので自己啓発本のメッセージであった見識を深める目的にはそぐわないとされていたからです。なのでビジネス書以外にたまに小説を読む程度でした。この習慣は4年位続けていたと思います。


 本を読むのに慣れて来て、最高に多く読んでた時は1週間に3冊以上読むことを1年間続けてました。内容はビジネス書から小説までなんでもありです。今思えばこの頃は活字中毒と言っても良いくらいかもしれないです。小説もカウントに含めているのは、読書メーターを使っていまして、せっかく読んだ小説を登録しないのは勿体ないと思ったからです。この頃はAmazonの売れている本のランキングか読書メーターのランキングを上位から選んで買って読んでました。そうすると必然的に小説も増えました。いえ、小説を読みたいがためにそのように検索していたと思います。後半はほとんど小説ばかり読んでいました。


 ですが、支出と収入のバランスが崩れる事態が発生して私の新刊読書生活は終わりました。はじめはハードカバーから文庫本に読む本を変えて、それでもきつくなったら図書館を利用するようになってました。ですが、図書館はあまり新しい本がないのです。もちろん入ってはいるんですが、予約がいっぱいで自分の番になるのを待つのが辛いのです。かといって本屋で本1冊まるごと立ち読みするのも悪いので立ち読みも出来ません。そこで私は紙ベースで本を読むことをやめました。Kindleで著作権が切れた本ならタダで読めると知ったからです。ただ、私には合いませんでした。昔の本は文章表現が難しいからです。それに新しい本を読みたかったです。


 それからの数ヶ月は仕事で送られてくるメールをすみからすみまで読みました。それまではチラッと見て既読をつけてとじていたのにです。思えばこの頃は会社で成績が良かったです。


 そんな生活をしていましたが、テレビか雑誌で無料で小説を読めるサイトが有ると知りました。それで出会ったのがこの小説家になろうでした。私は嬉しくなりすぐにサイトを検索して小説家になろうにアクセスしました。ブックマークするなら登録しなければならないというので登録したと思います。なんで小説を読みたいのに小説家になろうに登録しないといけないのかと思いながらです。


 はじめて小説家になろうに登録して私がしたのはランキングの作品のクリックではありませんでした。とりあえず検索アイコンを見つけたので検索をしてみました。どのような作品を検索したのかは覚えていませんが、とりあえず検索されたリストから1つ選んで読みはじめました。そして、小説家になろうに登録したことを後悔しました。とにかく面白くなかったからです。新刊の小説でもはじめの50ページ位は世界観に入り込めずに楽しめないことは多いので我慢して読んでました。そうではない、なんだか違う、という感覚が消えないまま最新話まで読んでみました。そして、気がつきました、この作品は完結していなかったのです。私は、小説は始まりがあったら必ず終わりが有ると思ってました。しかしこの作品は数年間更新されていないのです。おかしいなと思いながら他の作品もそうなのかと思い確認してみるとそういう作品が多数でした。そして私はまたも気がついたのです、小説家になろうには完結作品が少ないということにです。私のイメージでは小説家になろうは、書籍になっていない完結済みの小説が掲載されているサイトで、作家が小説を書き終わってから小説家になろうにアップロードしていると思っていたんです。ですが、実際には小説を書くためのサイトだったんです。私は、小説家になろうを閉じました。そしてまわりの友人知人にそのことをネタにして小説家になろうにはガッカリしたとふれまわっていました。今思えば営業妨害ですね。もしその時に小説家になろうに投稿している人がいたら私は相当嫌なやつだったでしょう。


 そんなこんなんで小説家になろうから離れ、登録していたことも忘れたある日、ブックオフで本を物色していると普段は手に取ったりしない表紙の本が目に入りました。そういえば大学の研究室にいた頃、隣の席の先輩がこういう本読んでたなあ。貸してくれるって言うから借りて読んだことあったなあと思い手に取りました。少し読んでみようかと思い、読み始めてみました。え?いきなり死んで神様に会って転生?中世?魔法?加護?と、普段目にしない設定やストーリーに夢中になってしまい半分位まで読んでしまいました。これは実は凄い本なのでは無いかと思い書籍を検索してみると、なんとこの本は小説家になろうで連載している本と書いていたのです。え?あの小説家になろう?と疑わしく思いながらも、小説家になろうのサイトを開いて探してみると有ったのです。私は、持っていた本は棚にそっと返して小説家になろうでその小説を読みはじめました。


 私はその作品にはまってしまい暇さえ有れば読み続けました。そして、最新話に追いついてしまったのです。当然この作品も完結してなかったのです。ですが更新は定期的にされています。私はこの作品の続きが気になるので更新を待つことにしました。


 更新までの間、時間が出来てしまいました。なのでもう一度その作品を頭から読み直すことにしました。そして、待ちに待った更新が来たんですが、更新は1話だけ。すぐに読み切ってしまった私は強い渇望を感じてしまいました。面白い話をもっと読みたい!その欲望は小説家になろうに向かいました。はまった更新待ちの作品と同じファンタジー作品にです。


 面白い作品を強く求めていた私は、ファンタジーのランキングを開いて作品を吟味して、見つけた面白い作品を一気に全部読みます。また、更新を待っている間に新しい作品をみつけて最新話まで読みます。これを続けていたらブックマークは20件を超えていました。私は作品を読み始めたら基本最新話にたどり着くまでその作品しか読まないのでそれまで気にならなかったのですが、ブクマが多いとなんだか整理したくなってきました。


 ブクマが50件位になると、毎日更新の作品の割合も増えてきたので新規の作品を読むのをやめて更新部分だけを読むことがメインになりました。この頃は、小説家になろうのファンタジーにハマり過ぎて夢でもファンタジー世界で冒険してました。。魔法を使ったりモンスターと戦ったりしている夢を見てました。夢が現実味が有りすぎて、朝起きてから夢で使った魔法が使えるんじゃないかとファイアアローとか言ってしまったりしてました。そんな日々だったんですが、私はきがついてしまいました。私のブクマリストの下の方の作品はしばらく更新されていないということにです。


 私はその作品の最新話を開いて読んでみましたが、それまでのストーリーを思い出せずに困ってしまいました。私の記憶力は低いのです。残念ながら1か月前にまとめて最新話まで読んだ作品の記憶は他の49話の更新に押し流されていました。少しの逡巡の後、私は初めてブックマーク解除のボタンを押しました。その作品はあっさりと私のブクマリストから、消えました。


 この時、私に妖怪ブクマ外しが取り憑いたのです。ブクマが消えると何故か少し安心したんです。私は読み始めた作品は完結まで読みたいんです。そして、できる限り早く読みたいんです。なので、実は毎日更新作品をちまちまと読み続けることが辛かったんです。妖怪ブクマ外しは私に言いました。


「なに安心してんだよ?たった1作品のブクマ外しただけだぞ。その作品達はおまえが続きを読みたいって思っているのになかなか最新話を出さねえし完結の兆しすら見せない作品ばっかだぞ。挙句には1ヶ月も更新してねえ作品もらあったな。おまえの時間も有限なんだぞ?いつ完結するかわからない作品は一旦ブクマ外してよぉ、完結したらまた読めば良いだろ?面白い作品なら完結してもまたランキングに載ってるだろ?それにたくさん外したらその分読む時間も増えて面白い作品を見つけられるかもしれないぞ」


 私は妖怪ブクマ外しの言葉に同意して、39作品のブクマを外しました。外すのには時間がかかりました。どの作品のブクマを外すか決めるために、とりあえずサラッと読み返して面白いと思うランキングの上位10作品を残して外しました。そうすると、物凄い開放感を感じました。あー、これで毎日ちまちま更新を読まなくて良いんだ。私はそう思ってました。


 それから約3年、私はブクマ作品がある程度たまったら整理と言って10作品程度まで減らす事を繰り返してました。一時はブクマ合計が100を超えていた時もあったと記憶しています。しかし、それでも10位まで減らすのです。私に取り憑いている妖怪ブクマ外しは相当高レベルなのではないかと思います。1ブクマを外させた妖怪ブクマ外しは1レベルアップすると思います。取り憑いた相手にブクマを外させれば外させるほどそのレベルは上がり、取り憑いた相手が安易にブクマを外させるようにします。もう妖怪ブクマ外しの声等は聴こえなくても、取り憑かれた私は当然のようにブクマをつけてはブクマを外す読者になっていました。


 そして、ある日私は大学生の頃に一時はまったネットゲームがスマホ版でリリースしたのをきっかけに小説家になろうで作品を読むのを休止したのです。そして、その時、妖怪ブクマ外しはこれまでに上げ続けたブクマ外しのスキルを私に使用しました。なんと、私はそれまでずっとブクマに入れ続けた、あのブックオフで出会ったあの作品をブクマから外したんです。そして、私のブクマは0になりました。私はそのまま約1年間小説家になろうに帰ってくることはありませんでした。


 1年間続けたネットゲームは、ファンタジー系でした。MMORPGですね。私は魔法とかファンタジーが大好きなようです。私は2台のスマホを活用してほぼ24時間ログインしていました。一時はサーバー内のログイン時間ランキングで1桁台にも居たんですが、運営への不満から引退者が続出し、私自身も細く長くという方針に転換しほとんどログインしなくなりました。


 そして、また私は小説家になろうに戻ってきました。またランキングから面白い作品を見つけてはブクマをする日々がはじまったのです。ですが、1年間はなれていたのに結構知っている作品も多く、あまり新鮮味はありませんでした。なので、私は完璧に私好みの作品は無いかと検索をしました。が、やはり私のために書かれたと言えるような作品は見つかりませんでした。


 なので、一度自分で書いてみようと思い立ち、書いてみました。しかし、小説家になろうの読み専だった私には作品の書き方が全くわからず、なんとかかんとかしながら1話目を投稿しました。が、次に2話目の投稿の仕方がわからず色々調べながら投稿出来たのは大分時間がたってからでした。小説家になろうに作品を投稿するのは意外と難しいということを知りました。


 そして、会社が忙しくなる時期だったので小説を書く時間を取れずにいると自然とまた読み専に戻ってました。新年度に入り、仕事もひと段落ついたころ小説を書けそうな時間があるなと思い3話目を投稿しました。2話目から3話目まで1ヶ月位間が空いたと思います。私は、小説を更新するのは大変なことなんだと知りました。


 3話目以降は、ストーリーを考えて文章にすることが難しいと知りました。思った通りに場面を文章で表現出来ないのです。と、いうか基本的に思いついたまま何か自分が読みたいと思えるような作品を書こうと思って書いているだけなので1場面を書いたらその次に書くストーリーが何も無いのです。整合性を取りながら完結させるのって実はかなり難しいんじゃないか?と焦り始めました。私は完結させる難しさを知りました。


 焦った私はネットで小説家になろうでどうやって書いたら良いのかを一日中検索しながら最新話を書いていきました。


 そのネットを検索する中で私ははじめて妖怪ブクマ外しという言葉を知りました。妖怪ブクマ外しというのは作品のブックマークを急に外したり、作品が更新されたタイミングでブックマークを外したりするということを知りました。しかし、これは小説家になろうのバグの1つなのかと思いました。しかし、作者と思わしき人からの、ブクマ外すんなら最初からつけないでくれ、というコメントを読んで、妖怪ブクマ外しとはブックマークを外す読者のことだとやっと理解しました。読み専だった私は妖怪ブクマ外しという名称を全く知らなかったのです。そして、自分の正体に気がついてしまいました。私は妖怪ブクマ外しだったのだと。同じ小説家になろうを使っている作者と読み専の価値観の違いがこんなにあったなんてと驚きました。


 そして、ブクマ100が超えるべき壁として有るということを知りました。私は過去の自分の行いを反省しました。更新が遅い、ストーリーが矛盾している、登場人物に魅力がない、完結したから、そんな理由でブクマをつけたり外したりしていたのです。


 更新する難しさも、ストーリーを考える難しさも、完結させる難しさも、何も知らずにです。


 私はとりあえず自分のブクマを見てみました。なんと、ブクマが1つついていました。このブクマは顔もしれない誰かが私の作品をみてつけていってくれたもの。私の作品が認められたように感じてとても嬉しかったです。でも、次に見たときにこのブクマが消えていたら?確実に落ち込みます。


 私は決心しました。自分好みの作品を書くことは変わりませんが、更新を欠かさない、しっかり完結させる、とです。その過程でもっとブクマを貰えるかもしれないし、そのブクマは外されるかもしれません。だけど、それは仕方がないことですよね。私は私の基準でこれまで千を超えるブクマを外してきました。私の作品を読んでくれた人がブクマを外す理由も想像できます。なのでそれは受け入れます。ただ、出来れば読んでいる時は、面白い、続きが気になる、完結まで読みたい、と思ってもらえるようなストーリーを作りたいです。ブクマはやっぱりブックマークなんです。しおりなんですから、面白くても面白くなくても読み終わったら外しますよね?まあ、たまによっぽど面白い文章があったらそこに挟んだままにしたりもしますけどね。


 それからは連日の更新をしまして、作品を完結させることが出来ました。その過程でたくさんのブクマを貰いました。ちょうど10万字かけた時にブクマ100を達成でき、この文章を書いている時点で130です。


 私は高位の妖怪ブクマ外しに取り憑かれています。そして、作者になることで妖怪ブクマ外しを封印することに成功しました。ですが、この封印はちょっとしたことで解けてしまいます。それは私のブクマが0になった時です……ニヤリ


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― 新着の感想 ―
[一言] ほんっとにすんごいわかる!!って感じでした!ブクマ外しって読者からしたらなんでもないことなんですけど、作者側からしたらとんでもなく落ち込んじゃうものなんですよね。特にまだ人の目にあまり触れて…
2019/06/30 00:51 退会済み
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