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世界を超える紫  作者: 素人
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もう一つの終幕と解散

 その時だった。

「お取り込み中だったか?」

 突如またどこからともなく女性の声が響いた。

 全員が声の方を向く。

 声の主を見た瞬間、ワイトは思わず、ぎゃあ、と声を上げてしまいそうになった。

 そこには、いつの間にか窓枠に足を掛け、こちらを不敵に睨む、エルメ=レッドホークがいた。

「おいおいそんなに警戒するなよ。別にやり合いに来たんじゃねぇよ。まぁ確かに一人面白そうなのがいるけどさ」

 エルメは天宮を一瞥する。

「ほぅ」

 天宮は逆にエルメを強く睨み返した。

「今この場で私と共に果てますか?!」

 凄まじい気迫がエルメを飲み込む。

 エルメは一筋の冷や汗を流しながらも不敵な笑みを浮かべる。

「まぁ止めとくよ。折角のお誘いだけどさ」

 エルメはそう言うと軽く跳躍し、部屋の中に入った。

 ワイトとシロは軽く警戒するが、エルメが次に取った行動はあまりにも想定外だった。

 エルメは突然その場で突然深々と頭を下げた。

「今回の件、本当にすまなかった。まさかアタシの組織の人間がこんな事をしでかすなんて……。言い訳になっちまうが、今回の件は決してアタシ、そして組織の本意じゃない。それだけは言いたかった。ケジメも付けてきたつもりだ」


 つい数時間前、グレイは裏路地を走っていた。

「くそっ! まさかSランカーまで出てくるなんて! 結局赤のカードは完全に失敗。毒島の野郎も紫のカードを取られちまっただと! あのクソ野郎が!」

 ぼやきながらグレイは走る。

「もうこの国に用はねぇ!」

 明日朝イチの飛行機で飛び立つべく一番都合のいい場所に移動しようとしている時だった。

「よぉ」

「な!」

 裏路地の薄暗い街灯の下でエルメが立ちはだかる。

「やってくれたな。まさか今回の件の主犯がお前だったとは」

 グレイの体を戦慄が走る。

 ――バレてる!

「どういうつもりかは知らねぇが、お前の罪は死ぬほど重い。覚悟は出来てんだろうな?」

「ッッ!」

 グレイは思わず一歩引いたが、エルメをよく観察しているとふと気付いた。

 ――かなり力を消耗している?

 グレイは拳を握った。

 ――俺の消耗はまだそこまでではない……。

 このままでは確実に消されてしまう。ならば。

 ――やるしかない!

 グレイは一枚の赤のカードを取り出した。

 ――幻影!

 辺りが結界に包まれる。

 その中では、グレイが五人に分身していた。

 五人のグレイは一斉にエルメに襲いかかる。

 エルメはそれを一つ一つ躱していく。

 ――無効化を使ってこない! やはり力を消耗している!

 しばらく猛攻を続けていると、エルメは着地の際にバランスを崩した。

 ――今だ!

 五人のグレイは全方位から一斉にエルメに飛びかかる。

 ――どれが本物かは分からないはず!

 本物のグレイの攻撃がエルメを捉えた。

 かと思った瞬間、グレイの手はエルメの体をすり抜けた。

 ――な!

 グレイが着地し、振り向いた瞬間だった。

 突如、体ががくりと傾く。

 見ると、左足があらぬ方向に曲がっていた。

「があああああ!!」

 エルメがグレイの前に立ちはだかる。

「今の状態でまともにお前の相手するわけないだろ」

 エルメは一枚の黒のカードを見せつける。

 それは位置の誤認識。効果は三十センチほど本当の位置からずれて見えるというもの。

 エルメは最初グレイに会った瞬間、既にそのカードをグレイに仕込んでいた。

 普段はグレイと同じで真っ直ぐ正面から突っ込むタイプだが、ここぞという時には決して無理をしない。これもBランカーたる所以だ。

「残念だよ。お前ほどの奴を失うなんてな」

 エルメは右手を手刀のようにし、ゆっくりと振り上げる。

「や! 止め……!」

 闇世の中、エルメの赤い瞳と月の光だけが輝く。

 エルメは右手を振り下ろした。


 エルメはワイトをじろりと睨んだ。

 ワイトは瞬間移動のように天宮の後ろに移動する。

「ったく。てめぇにはとんでもなくでけぇ借りが出来ちまったな!」

 エルメはそう言うと、一枚の黒のカードを取り出し、ワイトに投げつけた。

「返すぜ!」

 確認すると、それは回答看破だった。

 そして、全員の注目が回答看破に集まっている間にエルメは姿を消してしまった。

「んじゃ俺も」

「え?」

 キーノが振り向くと、ワイト、そして、シロの姿も無かった。

 その場には回答看破だけが残されていた。

 キーノはきょとんとしていたが、回答看破を見てふっと笑った。

「本当にありがとう。ワイト君」

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