表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を超える紫  作者: 素人
44/49

悲しすぎる結末

「ゆ! 許しませんよ! そんな事は!」

「え?」

 いつの間にか入り口に、取締局の黒服に身を包んだ女性が立っていた。

 女性はひどく息を切らしており、ドア枠に手を掛け、キーノ達を睨んでいた。

 キーノがゆっくりと振り向き、声の主を目にした瞬間だった。

「ぁ」

 キーノはか細く声を漏らすと、みるみるうちに青ざめていき、まるで力が抜けたようにその場に膝をついた。

 そして右手で口を抑えたかと思うと俯き、突然ポロポロと大粒の涙を零し始めた。

「やっぱり…………。悪い事は出来ないんだねぇ…………」

 キーノが泣きながら呟く。

 シロとケイは訳が分からず、同時に口を開いた。

「「誰?」」

 その瞬間、ケイの頭に鉄拳が突き刺さる。

「痛いって!」

「もう! あなたって子は! 最後の最後・・・・・まで!」

 キーノは涙を流したままケイの方を向く。

「天宮春名代表執行官。私達のトップだよ」

「え?!」

 ケイが思わず声を上げる。

「一番偉い人が何でこんな所に?!」

「ケイちゃん。私が前に言った事覚えてる? そして今代表執行官が仰ったこと……」

 ケイの頭になぜかすぐにキーノの言葉が浮かんできた。

『代表執行官は執行官に対する裁判権も持ってるの。今、私はもう有罪が確定しちゃってるから代表執行官に見つかったらジ・エンドだよ』

 そして、今代表執行官が言った事。

『ゆ! 許しませんよ!』

 ケイは信じたくない事実が飲み込めてきた。

 そして、胃に一本一本針を突き刺すかのように、徐々に胃が痛くなるのをはっきりと感じていた。

 代表執行官が何をしに来たか。

 今の状況で考えられるのは一つしかない。

 ――キーノを、捕まえに来た。

 ケイは何も言わず、無意識の内に天宮とキーノの間に立ち、天宮に向かって両手を広げていた。

 ――アタシの…………せいだ…………。

 ケイの全身は小刻みに震えていた。

「こ…………この人は…………アタシの…………お母さん……なんです」

「ケイちゃん! 止めなさい! あなたまで!」

 ――アタシが、駄々をこねたから…………。

 逃げる時間は十分にあった。

 それを全て自分のつまらないわがままで食いつぶしてしまった。

 結果として、キーノはもう二度と帰ってこられなくなる。

 ケイは呆然自失の様子で立ち尽くしていた。

 天宮は息を切らしながらその様子を見つめている。

 今キーノが連れて行かれたら百パーセントもう会うことは出来ない。

 かと言って天宮に立ち向かってもどうにもならない。むしろ自分とキーノの状況を悪くするだけだ。ケイもそんな事は分かっていた。

 ならば逃げれば良かったのだ。

 その逃げる時間を潰したのは誰だ?

 他ならぬ自分だ。

 自分がどうでもいいようなわがままでキーノを困らせ、更には逃げる時間まで奪ってしまった。

 ケイはやり場のない感情でいっぱいになり、とうとう涙が溢れてしまった。

「連れて行かないでぇ!」

「え?」

 天宮は何やらきょとんした表情でその様子を見つめていた。

 シロは後ろでその様子を静観していたが、やがてギュッと拳を握った。

「あなた達が出来ないって言うんなら私が!」

 そして険しい表情で一歩踏み出した、瞬間だった。

 ワイトがシロの肩に手を掛ける。

「シロ。やめろ」

「ワイト。止めないで」

「天宮は世界最高峰、Aランカーの一人だ。お前でも相手にならない」

「でも! でも。こんな結末って無いよ!」

 シロがワイトの静止を振り切り再び歩を進めようとする。

 しかし、ワイトは再度シロの肩を掴んだ。

「待てって! シロ! 雇い主の命令だ。ちょっと待て!」

 その言葉を聞くとシロは天宮の方を向き、キュッと唇を噛むと、振り返った。

「何か、考えがあるんだね?!」

「まぁもうちょっと待ってみてくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ