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世界を超える紫  作者: 素人
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道は開かれた?

 ワイト達は六階まで辿り着いた。

 ――サーチ!

 こまめにサーチを使い、相手の位置を逐次把握する。

「駄目だ! 降りて来てる!」

「よし! ここで一旦階段から出よう!」

 ワイト達は六階に入った。短い通路を経て出た先はプールだった。

 六階は共用のプールとなっている。入り口は対辺一箇所ずつで計二箇所ある。二十三時を回っている今の時間は使用禁止となっているため、人は誰もいない。

「反対側の階段から上に向かってみるか」

 ワイトがそう言うと、全員頷き、走る。

 走りながらワイトはサーチを使った。

「ワイト君。力は大丈夫?」

「まだ消費二割って所だ。問題ない。それよりこの部屋には…………。数枚のカードの反応があるだけだ。誰もいないな」

 まず、部屋の様子を読み取った。そして、

「よし! 親衛隊の方に六人向かってるっぽい!」

「最低限の人数だったね! だけどありがたい!」

「俺達の方は…………。同じく、六人か。ってか…………。くっそ、七階でピッタリ俺達の後を付けてきてやがる!」

「まぁ、順当だよね。下手に六階に攻め入って私達に躱されたら目も当てられない。それより、一つ上の階で確実に通路を塞いだ方が無難だね。こっちは時間も無いから待機するっていう作戦も取れないし」

「ワイト。ここで二手に分かれるっていうのはどう?」

 ワイト達は階段の前で止まった。

「それも一つの手か。いや、けど…………」

「難しいね。分けるとしてもどう分けるか」

「ああ。でもまずキーノだけってのは絶対に無しだ。万が一の事態が起きたら終わりだからな。となると、キーノに誰が付くか。チビだけってのもありえない。それもキーノ一人と大差ないからな」

 ケイはさすがに状況を理解しており、何も言い返さない。

「そうなると、俺か、シロか。だけど俺じゃ大した護衛にならない。上手く十五階に辿り着いたとしても謎の男が相手だとどうにもならない。そうなると、シロしか無いけど、今度はキーノが上に向かうために自分でサーチを使うしかなくなる。チビのサーチじゃ心許ないからな」

「私なら多分大丈夫だよ。ここに着いてからは完全に力を温存させてもらったからね」

「よし! いいかもしれないな。なら、キーノとシロ。そして、俺とチビ、で一旦分かれてみるか。もし敵が三三に分かれてくれれば勝ち確定だ。例え相手が最悪の引きでDDEの組み合わせだったとしても、キーノとシロなら対応できるはずだ」

「普通に考えて、こっちだけにDランカーが二人とも来るなんてありえないよね。赤のカードがある部屋で一人くらい待機してる可能性の方が高いと思うし、向こうの六人の中に含まれている可能性も大いにあると思う。そう考えれば……」

「そうだな。突破できる可能性がかなり高い。そしてここさえ抜けられれば……」

「情報屋さんの話だと、赤のカードがある部屋で常に四人くらいは待機してるって事だった。向こうに六人。こっちに六人、外に一人。そうなると、残りは七人。護衛に四人いるとしても残り三人じゃ私達をきっと止められない。そう考えると少なくとも十五階までは辿り着ける!」

 キーノは心が踊り立ってきた。

「でもそうなると、ワイトが……」

 シロが心配そうに口を開いた。

「あ、そうか。ワイト君達は三人も相手にしないといけない……」

「まぁ、俺達の事は心配するな。こうなれば俺達のやる事は逃げる事だけだからな。何とかなるさ」

「そっか。そうだね!」

 シロは元気に返事した。シロはワイトの逃げ足をよく知っている。

「よし! 相手に俺達の考えを悟られる前にやろう! 一旦部屋の真ん中に移動して、そこから一気に二手に分かれる。これでどうだ!」

「いいね! やろう!」

 四人はプールサイドの中央部辺りに移動した。キーノはケイからサーチのカードを受け取る。

 そして、

「行くぞ!」

 ワイトの号令で四人は一気に駆けた。

 次の瞬間、キーノとワイトは同時にカードを使う。

 ――サーチ!

 上階の六人は一瞬の出来事で対応しきれなかったのか、ほんの一瞬の停滞を経て三三に分かれた。

 ――やった! これで!

 十五階までの道が開けた。キーノとワイトは同時に笑みを浮かべた。

 しかし、ここでワイトの心にふと嫌な考えが浮かんできた。

 ――六人という人数を振り向けた時点で、相手はこの事態を予想しなかったのか?

 シロの機転で発案された作戦。相手も読み切れていなかったのか。

 これでほぼ確実に十五階には辿り着ける。仮に上の六人に謎の男が入っていたとしてもどちらが本命かは分からないはずだ。百歩譲ってキーノ側を引き当てたとして、いかに謎の男でもキーノとシロの二人が相手では止められる保証はないはずだ。やはりこちらが勝っている。

 本当か?

 ワイトはふと気がついた。

(マンションに入った瞬間から相手にはこっちの動きは分かっていたはず。つまり相手には俺達をどこで止めるか決める権利があるはずだ。なら、俺達が六階に来たのは偶然じゃなく…………)

 ワイトは悪寒に包まれた。

 ――誘い込まれた?

 しかし、だとすれば、なぜこんな場所に…………。

 ワイトは辺りを見回して気付いた。

 ――ここなら、大声を出しても、誰も気づかない!

 ワイトは急停止してもう一度サーチを使った。

 この部屋には移動しているカードや密集しているカードはなかった。

 しかし!

 ――柱の陰にあるカードが、地面に落ちていない!

 地面に落ちていないという事は、台の上にあるか。或いは、

 人が持っているか。

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