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女神の想い人  作者: CGF
8/28

8


事が起こればあっという間。






まず、立哨をしていた傭兵の一人が餌食になった。



「ぐ……!?」



声をあげる前に口が塞がれる。



天井から降ってきたラルヴァが、ソイツの顔にへばり付く。


ソイツはたたらを踏みながら、ラルヴァを引き剥がそうとして……すぐに両手の力が抜けた。





棒立ちになる。





ラルヴァが触手を鼻の穴に突っ込んで脳を掻き回したんだろう。


透明なラルヴァは暗がりでは余計に目立たない。脳を喰われ身体を乗っ取られたソイツがゆらゆらと揺れる。


ラルヴァが手に入れた身体を試しているのだ。



続けざまに立哨の頭を狙ってラルヴァがぼとぼと落ちてくる。




「ぅ?……うわああぁぁ!?」



一人が運良く直撃を免れた。悲鳴が響く。





……何もラルヴァは傭兵達が強そうだからと狙った訳じゃない。


立哨の為に焚き火から離れ、間隔を空けて立っていたからだ。俺にこないのは先に一匹倒したのと、目の前にデンがいたから。




「な?なんだ?」


「お、おいあれ!」


「キャアアアアァ!」



焚き火の周りにいた連中が騒ぎ出す。


それと同時にラルヴァどもが一斉に落ちてきた。



「ぅ?うわ!?なんだ!?なんなんだアレ!?」



突然の出来事にデンの意識が俺から完全に離れる。





その瞬間、俺の身体は弾かれた様に動いた。


背後から飛び掛かった俺の両手がデンの頭を掴む。



頭頂と顎を押さえ。




一気に捻る。




デンは変な方向に首が向いて倒れた。





「ぎゃあああ!」


「た、助けて……」


「ぅおおおおお!」


「じょ!冗談じゃねぇ!逃げるぞ!」


「あ!馬鹿逃げるな!」


「円陣!円陣を組め!雇い主を護れ!」



焚き火の周りは大混乱、といったところか……






……俺に注意を向ける余裕は無さそうだ。



倒れたデンの懐を漁る。


程無くして枷の鍵を見付けた。手枷の鍵穴に差し込む。


一度外れるのを確かめた後、俺は手枷をはめ直し、手枷と手首の隙間に鍵を押し込んで隠す。





まだ早い。




デンの首の向きを直してやった後、俺はさっき殺したラルヴァの死骸を拾った。


デンの顔に落とす。




そうして手を軽くはたくと、また腰を下ろして焚き火の方から聴こえてくる『即興曲』を鑑賞する事にした。







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