表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の想い人  作者: CGF
25/28

25



「貴様何をしている!?」



アーシェラがラスの所業に気付いてその手を掴んだ。



「ぅう……あ……あぁ!」



駄目だ、恐怖の表情が顔に貼り付いたラスは濁った瞳を左右に揺らしながら声にならない呻きをあげ続けた。


アーシェラの腕を振り払い闇雲に剣を振り回す。思わず飛び退いたアーシェラの後ろに村人の姿が見えた。



「アーシェラ!後ろだ!」



俺の声に反応して振り返るアーシェラ。


その腹に鋭いフォークが突き刺さる。



「ぅぐうっ……おのれ!」



それでもアーシェラは村人の首をはねる事に成功したが、そのまま二人ともくずおれてしまった。



俺は俺で目の前の相手に忙しい。アーシェラの倒れる姿を横目で見ながら、一人を体当たりで転がし、もう一人の首に剣を突き立てる。







「おい、そっちはどうだ?……くそっ」



気が付けばバースが横にいた。



「……これで終わり…か?」



どうやらラルヴァに憑かれた村人はもう残っていなかった。


……そして俺達も。



「……どれくらい経った?」


「じきに夜明けだ……見ろ」



バースの指差す先、鎧戸に覆われた窓の隙間から一筋の光がさしている。


俺は辺りを見渡した。



倒れた村人達の首からぬるりとラルヴァの身体が這い出してくる。


そこかしこからチチチ…と奴等の鳴き声が聴こえてくる。見上げれば天井にもラルヴァが何匹がへばり付き、こちらの様子を窺っていた。




もう終わりにしてやる。


俺は鎧戸に近寄ると、持っていた剣を振り下ろし叩き付けた。


二度三度と剣を打ち込まれた鎧戸はバキバキと壊れ、朝日の最初の光が寺院の中に広がる。



朝日を浴びたラルヴァどもが、湯気を立てながら溶けていく……


それを見たバースが他の窓を開けていった。


やがて薄暗い寺院の中は、焚き火の柔らかい光が弱まり硬質な朝の光で充満した。



「生き残ったのは……四人だけか」



四人?


バースの言葉に、ふと違和感を感じる。


俺はその違和感を無視して、倒れている男の前に立った。



「く……くそ…しくじった…ぜ」



その男、賞金稼ぎのヤザンはまだ息があった。



「て…てめぇ…を」


「それは無理だヤザン。どのみちお前とはここでおさらばするつもりだったからな」



俺は手枷に隠していた鍵をヤザンに見せる。呆気にとられたヤザンの見ている前で手枷を外して捨てた。



「くそが…てめぇ……なんで………」




それが奴の最期の言葉だった。




────────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ