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「うわっ!」
外れていた扉がとうとう傾き、バリケードにしていた荷物の上に転がった。天秤の棹かなにかの様に荷物の上で揺れる。
ラルヴァに憑かれた村人達の姿が見える。手には農作業用のフォークや鍬、でかい草刈り鎌が見えた。
「立て直せ!」
バースの命令は、しかし無駄になる。
村人の一人が横に倒れた扉に乗り上げた。扉はその重みのせいで持ち上がらない。
乗り上げた村人がごろごろと転がり寺院の床に落ちる。その男を始末している間に次々他の村人が扉に乗り上げ、バリケードを突破してくる。
「あ……あ……ぁあ……」
後ろにいるラスが呻いた。
ヤザンとアーシェラ、そして手枷足枷のままの俺が焚き火を背に、向かってくる村人に立ちはだかる。
「くそっ!ちくしょうめ!」
ヤザンはなりふり構わず近寄る相手に斬りつけていく。
……やけくそだな、あれは。
あんな風に剣をやたらめったら振り回されると、手伝い様が無い。不用意に近付くと巻き添えをくう。
俺はアーシェラと共に駆け寄ってくる村人をいなし、斬り倒していく。
ラルヴァそのものの始末は後だ。そんな余裕は無い。
「ひぃっ!」
サーシャかメグか判らないが小さく悲鳴をあげる。多分足許に首でも転がってきたんだろう。
バース達は入口で村人どもが入り込むのを阻止している。が、どうしても漏れてくる奴はいた。
そんな奴らが俺達に向かってフォークや大鎌を振りながら走ってくるのだ。
振り下ろされる大鎌を剣で跳ね上げ、返す一振りで村人の頭をかち割る。
アーシェラを襲う村人を横から腹に突き入れて隙を作り、アーシェラが首をはねるのを確認すると、俺は次の相手に斬りかかった。
「ぅぎゃあああ!」
暗がりにヤザンの声が響く。やられたか?
ヤザンの姿を探す余裕は無かった。入口を護るバース達にも何かあったらしく、俺達が相手にする村人の数が増えていた。
枷を外しておけばよかったか?
自由の利かない両手で剣で振り回し、襲ってくる村人の首をはねる。
「きゃああああぁ!」
「御嬢様!?ひぃいいい!げほっ……」
なに!?
俺達の後ろから相次いで悲鳴が続く。
俺達を抜けて後ろを襲った奴がいたのか!?
悲鳴につられて後ろを振り向く。
焚き火に照らされて侍女が転がっていた。喉笛を裂かれ自分の血で溺れている。
その更に向こう、何者かが誰かに馬乗りになって剣を何度も突き刺している。
俺が目にした光景は、ラスがサーシャを滅多刺しにしている姿だった。
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