9.脳筋少女、下僕を手に入れる。
少女は自信満々に口を挟みます。
一体なにがわかったと言うのでしょうか?
「商人さんは2人しか引き取れない。つまり!1人は私が引き取ればいいと言うことね!」
「!!?」
「なんだって!?」
「なぜそうなる!」
なんということでしょう!
少女が1人引き取ると言い出しました。
商人はビックリ、盗賊達は唖然としています。
「しかし、失礼ですが貴女に彼らの1人を雇うお金はあるのですか?」
「無いわ!」
「無い!?」
「無いのか!」
「お前バカじゃないか?!」
少女は盗賊Cに教育的指導を施します。
「大丈夫! お金がないなら、稼げばいいのよ!」
「どうやって?」
「もちろん、体でよ!」
「!?」
「!?」
「!?」
「なんですって!?」
少女の爆弾発言に全員驚きます。
「おいおいおい、そりゃないぞ!」
「そうだ、考えて直すんだ! 自分を粗末にしてはダメだ!」
「ホントだよ! 何言ってんだ!?」
「お嬢ちゃんにそんなことさせるくらいなら、私が3人とも雇いますよ!」
「? みんな何を慌ててるの?」
少女はコテリと首を傾げます。
そんな少女の様子に、他の者も首を傾げます。
盗賊Cは、ハッとしました。
「お前、体で稼ぐってなにをするんだ?」
「肉体労働に決まってるじゃない。力仕事や魔物を倒すのは得意よ!」
「……そうか」
変な勘違いをした者達はきまずそうに視線をそらしました。
「そこでよ! 魔物を倒したりするのは得意なんだけど、持って帰るのが大変なのよね。持てないものは置いてくるしかないし。荷物持ちがいれば楽だわ!
つまり……下僕ね!」
「待て待て! 最後オカシイだろ! 何で下僕なんだよ」
「荷物持ちとか雑用をしてくれる人って友達に聞いたことがあるわ」
「う……まぁ、そう……か?」
「いやなんか違うだろ」
「まぁ、いいじゃないの。というわけで、あなた私の下僕になって」
「え、俺!?」
盗賊Cがギョッとします。
「嫌なの?」
「いや、いいけど……なんで俺なの」
「“余りモノには福がある”だったかしら?」
「ヒデェな!?」
「あと私のことは“お嬢様とお呼び!”だったかしら?」
「絶対違うだろ。つかどこで仕入れた言葉だよ」
「友達が言ってた」
「お前の友達って……」
盗賊Cは少女の交友関係が心配になります。
「というわけで、よろしくね」
少女は手を差し出し、盗賊Cと握手します。
こうして、少女は下僕を手に入れました。
読んで頂きありがとうございました。
次でやっと町に着きます。