7.脳筋少女、説得する。
商人には少し離れていてもらい、まずは盗賊ABを起こします。
盗賊Aは少し暴れたので、軽くなでて大人しくさせます。
盗賊Bはその様子を見て反抗することの無意味さを覚ったみたいです。
世界は常に理不尽に満ちています。
少女は大人しくなった盗賊ABと空気の盗賊Cを見て、頷きます。
そして、商人に盗賊達の境遇と先ほどの考えを話しました。
「は!? 何を考えているんだ!!?」
「ありえないだろ!」
「バカかお前は!?」
盗賊A、B、Cがすぐさま反応します。
とりあえず、失礼な盗賊Cは殴っておきました。
少女に「バカ」は禁句なのです。
「思うんだけど、あなた達、盗賊向いてないわ」
「!?」
「なんだと?」
「お前に何がわかるっていうんだ!」
「だって、この私が初回の盗賊行為に遭遇し、止めたのよ? つまり、そういうことよ」
「?」
「……?」
「??」
少女の、なんの理屈にもなっていない言葉に、盗賊達はポカンとします。
「え……どういうことだ?」
盗賊Cがあまりの意味不明さについ聞いてしまいます。
「つまり! つまり……? えぇぇと……こういうことよっ!」
少女もきちんと説明出来ませんでした。
もう今日はいっぱい頭を使ったので、疲れていたのです。
思考を放棄した少女は、拳を振り上げ──
ゴッ
盗賊Cを殴りました。
頭が疲れていたのです。