4.脳筋少女、盗賊Cと話す。
全員倒してしまった少女。
倒したあとで困ってしまいました。
とりあえず倒してしまいましたが、どれが盗賊かわかっていなかったのです。
「どうしようかしら……」
パッと思い浮かぶ対処法は3つ
▼とりあえず、証拠隠滅
▼とりあえず、全員殴って起こす
▼とりあえず、1番まともそうなのを起こす
少女は、とりあえず1番まともそうなのを起こそうと思いました。
そこで、4人を見比べます。
1人目は、ガッチリした厳ついスキンヘッドの男です。
少女は男の頭部を見て、これはやめておこうと思いました。
心優しい配慮です。
2人目はひょろ長い男です。「ヒュー……、ヒュー……」と呼吸しています。
少女は少し目をそらし、やめておきました。
3人目は中肉中背の男でした。
少女はこれならと思い、優しく起こすことにしました。
バシンバシン
とりあえず往復ビンタをしました。
「う……顔が痛い……」
「起きた?」
「あ!? 突撃暴力女!!?」
盗賊Cは突然やってきて、自分達を殴った少女を覚えていたようです。
「暴力女?」
「なんで不思議そうな顔してるんだよ。あそこで商人までのびてるじゃないか」
「あの人が商人なの?」
「おいおい、わかってなかったのか!?」
「いいえ。何となくわかっていたわ」
「わかってなかったんじゃねぇか!」
4人目が商人であることにやっと気がついたみたいです。
「ふむ……じゃあアナタは盗賊ね?」
「何で疑問系なんだよ!?」
「ね?」
「なんなんだお前は……」
盗賊Cはとても疲れた溜め息を吐きました。
「ねぇ、なんで盗賊なんてしているの?」
「なぜお前に話さなきゃいけないんだ」
「教えて?」
少女はスッと拳をあげます。
「まっ、待て待て早まるな!! 盗賊になった理由? 俺らは孤児で、まともに職に着けなかったんだよ!」
どうやら盗賊ABCは西の国からやってきた戦災孤児で、両親は魔王軍と戦った時に亡くなったそうです。
最初はまともに働こうとしたらしいですが、世間の風は冷たく、食うに困って盗賊になるしかない……と追い詰められたようです。
そして、今回初めて商人を襲ったところ、少女に手酷くやられてしまったみたいです。
魔物達は魔王の手先として各地で暴れています。
少女の村らへんはほとんど魔物の出ない平和なところですが、西に行くほど魔王領に近づくため魔物の数が多くなります。
特にここ数年、魔物の勢いが強くて人間は押され気味だそうです。
「ふむ……。とりあえず、他の人を起こしましょう」
少女は、盗賊Cと話すのを中断して全員起こすことに決めました。