34.脳筋少女、噂の天才剣士に出会う。
宿屋を出てから、少女たちはまずは大通りに沿って歩きます。
あっちへフラフラこっちへフラフラ、気の赴くままに露店を見て回ります。
少女は宿屋のおやじ十選とか関係なく食べ物の屋台で買い食いしようとし、盗賊Cに止められます。
盗賊Cは少女から目を離しません。
財布の紐も緩みません。
そんな盗賊Cに少女は一生懸命アピールします。
「あ、あれ美味しそうよ」
「朝食食べたばっかりだろ」
しかし、盗賊Cはにべもない態度です。
ここで少しでも財布の紐を緩めると、すっからかんになるまで少女が買い食いすることをすでに経験で知っていました。
盗賊Cはなにか少女の意識を反らすものはないかと周りを見回します。
すると────
「おい、あっちの中央広場だ!」
「マジか! 早く見に行くぞ」
盗賊Cの横を二人の少年が駆けていきます。
何となく目で追いかけてみると、なにやら前方の広場の方に人だかりが見えてきました。
わー、わー、と騒がしいですが、なにか催し物でもやっているのでしょうか?
「お嬢、俺たちも見に行ってみないか?」
「いいわね。行ってみましょ」
気になった少女たちは、人だかりの中心を見に行くことに決めました。
人だかりに近づいてみると、どうやら二人の人物が対峙しているようでした。
一人は三十代くらいのガタイのいい男。大剣を構えています。もう一人は、両手剣を持つ十代半ばくらいの細身に見える男の子でした。
「さぁ、賭けた賭けた! ガタイのいい男は最近この街にやってきた歴戦の傭兵だ! そしてもう一方は、なんと最近大会で優勝しまくっている、あの“天才剣士”だ! これはどちらが勝ってもおかしくないぞー!! さぁ、心残りのないように賭けてくれや!」
どうやら噂の“天才剣士”が傭兵と戦うようです。
この国では、闘技場でやる大会の他にも、こうしたちょっとした広場などでも腕を競うための対戦があり、賭けの対象になっているようです。
「すごいわね」
「そうだな。こんな広場で賭け事とかびっくりだ」
「なんだニィちゃんたち、この街は初めてかい?」
二人で人だかりの中心を眺めていると、隣にいた男が話しかけてきました。
「えぇ。昨日来たばかりです」
「この街では魔物の襲来に備えて、戦い、腕を磨くことが領主様によって推奨されているんだよ」
「へぇ。そうなの……。でもそれだと余所者とかが入ってきて、治安も悪くなるんじゃない? 大丈夫なの?」
「そこは領主様が頑張ってるな。警邏の巡回を増やしたり、娯楽性を高めて治安維持をしてるよ。あとは元々陽気な奴らが多いので、騒ぎが起きても終わった後は案外カラッとしてるんだ。それに宿や露店、闘技場なんかは儲かっているらしいぞ?」
男の話を聞く限りでは、なんだかんだで街は上手くまわっているみたいです。
国や街が違えば、色々と今までと変わってくるようです。
盗賊Cは素直に納得しました。
「では、試合を始める!!!」
賭けを締め切った胴元が宣言します。
どうやら、賭けの胴元をしている男が審判もかねているようです。
人々が歓声を上げ、試合が始まりました。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
ビックリするほど何も思い浮かびませんでした……。
そのうち改稿するかもしれません。




