23.脳筋少女、魔獣と遭遇する。
自信満々な少女に対して、村長が問いかけます。
「お主、魔獣に勝つ何かいい案でもあるのかの?」
そう簡単に勝てる方策が見つかる筈がないという思いと、
この少女なら何か出来るのでは、という思いがせめぎあいます。
「ふふふ。秘密よ。だけど、これだけは言っておくわ……。私には、実績がある」
村長は感心しておりましたが、盗賊Cは嫌な予感しかありませんでした。
山に登るのは翌日にして、本日は村長のお宅にお泊まりです。
心尽くしの料理に舌鼓を打ち、食べ終わったら早目に寝ることにします。
この日最大の功労者は、美味しい料理の数々や備蓄をも食い尽くさんばかりにもぐもぐ食べる少女を止めることに成功した盗賊Cでした。
***
翌日早朝。
すっきりと晴れた青い空。
清みわたる空気。
絶好の山登り日和です。
村長夫妻に見送られ、少女と盗賊Cは山に向かいます。
山を目指しながら、盗賊Cは少女に尋ねます。
「実際どうするんだ? 黒狼に勝てるのか?」
そんなこと昨日のうちにきちんと確認しておけよ、と思いますが……昨日は少女を止めるだけで力を使い果たし、盗賊Cは眠ってしまったのでした。
「あなた、忘れているんじゃないの? 私たちは、魔獣を倒すために来たんじゃないわ。薬の素材を採取出来ればいいのよ」
盗賊Cは愕然としました。
まさか、この少女がこのようにまともな発言をするなんて!
少し落ち込みつつ、再度発言します。
「いや、でも遭遇する確率は高いじゃないか。もし遭遇してしまったらどうするんだ?」
「その時はぶちのめすだけよ」
平常運転の少女に、盗賊Cは安心しました。
***
さて、採取しなければならない薬の素材ですが、高山植物なので、採れるとしたら山頂付近です。
少女はてくてくと山道を登ります。
盗賊Cは“なんであんな普通の道と同じように歩けるんだ?”と不思議に思います。
あちこち旅をして、体力にはそれなりに自信のある自分が少し息切れし始めたのに、少女は息切れもせず軽やかに登ります。
力だけでなく、体力も凄いのか。しかし“少女だから”と思えば不思議とどんなことも納得出来ます。
そんなどうでもいいことを考えながら登っていたら、前方の少女が声を上げます。
「あったわ。コレよ」
どうやら薬の素材を見つけたようです。
盗賊Cは慌てて少女に追い付きながら、薬の素材の採取に参加します。
魔女に指定された量まであと少し、というところで──
ガサリ
背後から、不穏な気配が致しました。




