表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/71

22.脳筋少女、情報収集をする。

 さて、西の村の村長にこってりと絞られた少女と盗賊Cでしたが、誠心誠意謝り、門を弁償するということで、話はつきました。

 一息ついたところで、村長が少女にたずねます。


「ところで、お主らは村に何の用で来たんじゃ? この村はとくに主街道沿いにある、というわけでもないじゃろ。珍しいものがあるわけでもないしの」


 村長は少し厳しい顔つきです。

 何の目的でやってきたかわからない二人を警戒しているようです。

 少女は腹芸など致しません。直球勝負で言いました。


「実は白薬樹の魔女に頼まれたのよね。この村で採れる素材が薬に必要だから、採れそうなら採ってきてって」

「! なんと!  白薬樹の魔女様が……」

「なんでも、魔獣が出たとか? 詳しい話を知りたいのよね。教えてもらえないかしら」

「そうか。そこまで知っておるのか……。詳しい話をするならここじゃなんだ。ワシの家で話そうか」


 村長は村人に簡易的なものでいいから、とりあえず門を塞ぐように言い、少女と盗賊Cを村の中に招き入れました。




 村長について歩きながら、盗賊Cは聞きました。


「すみません、この村って宿屋とかありますか?」

「こんな小さな村にあるわけないじゃろ。安心せい。ワシの家に泊めてやるわい」


 村長の言葉に盗賊Cは安堵しました。

 小さな村だと宿屋がない場合も多いです。その場合家畜小屋か、それすら無理な時は野宿です。

 それに比べれば、門を壊すという迷惑を掛けたにもかかわらず、泊めてくれる村長はとてもお人好しの部類です。

 盗賊Cは村長にとても感謝しました。


「ありがとうございます。お世話になります」

「構わんよ。白薬樹の魔女様の知り合いを野宿させるわけにもいかんしの」




 そうこう話しているうちに、村長の家に着きました。通るときに見た他の家と比べると一回り大きいようです。


「ここじゃ。さぁ、中へ入っとくれ」

「お邪魔します」

「お邪魔するわね」


 村長の家は木造の二階建てで、木の温もりが心地よい雰囲気を醸し出していました。

 村長の奥さんがいれてくれたお茶を飲みながら、続きを話します。


「さて、先ほどの続きじゃが……。まずお主らは戦えるのかの?」

「負けたことないわ」

「……。これをご覧ください」


 盗賊Cは内心で“マジかよ”と思っていましたが、ツッコミは入れずに荷物からあるものを取り出します。

 盗賊Cがゴトリとテーブルの上に“大牙猪”の牙を置いたのを、少女と村長が注目します。

 そうです。少女が仕留めた“大牙猪”のお肉は食べましたが、牙は食べられないので、売るために持ってきていたのでした。

 村長は目を見張りました。こんな立派な牙は早々お目にかかることなど出来ません。


「これは、もしや……」

「昨日狩ったばかりの“大牙猪”の牙です」

「やはり! 成る程のう……。これを仕留めることが出来るなら、実力は十分かの」


 村長は納得します。

 “大牙猪”は生半可な者では狩ることが出来ません。

 二人は特に怪我をしている様子もないので、相応の力量はあるのだろう……と村長は考えました。


「この村には特筆すべきものはないが、唯一、山に生えてる薬の素材が特産と言えるものじゃ。まぁ、白薬樹の魔女様にしか卸してないがな」

「? なんであの子にだけ?」

「そう量が採れないのもあるが、白薬樹の魔女様には恩があるんじゃ」

「恩?」

「昔、村でタチの悪い病気が流行ったときに助けていただいたんじゃよ。だから、少しでも白薬樹の魔女様のお役に立てるならと思うてな」

「へぇ、そうなの」

「だが……あの魔獣が住み着いたせいで、なかなか採取が出来なくてな」


 村長は悔しそうです。

 出来ることなら自らの手で魔獣を追い出したかったようです。

 少女はそんな村長の様子をじっと眺めています。

 盗賊Cが続きを促しました。


「それで、その魔獣はどんな姿なんですか?」

「採取に行って、怪我した者の話では、一頭の巨大な黒狼だったそうじゃ」

「! 黒狼……この辺には生息していないはずですよね?」

「そのはず……なのだがのう。何らかの理由でここまで流れてきたみたいじゃ」

「……厄介ですね」


 狼系の魔物はスピードも力も厄介極まりないです。特に群れると討伐難易度が跳ね上がります。

 しかし、一頭だからといって油断できる魔獣でもありません。

 盗賊Cは内心でうめきました。

 しかし──



「大丈夫よ」



 少女がきっぱりと言います。

 とても清々しい笑顔で。


 少女には魔獣を倒す秘策でもあるのでしょうか……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ