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大闇子闇  作者: 元爺
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〜脱出〜

複数の金属音だけが響く部屋。

次の瞬間、部屋だけじゃなく宿屋全体に

大きな音と振動が走る。

宿屋の主人も最初から居なかったようだ。

その他の宿泊者も最初から居なかったように、

誰も起きずに静まり返っていた。

まるで、この部屋だけに時間が流れているように・・・

この村に居るのがクリスとサキ、使いの3人だけのように・・・


音の正体、それは

サキが、3人の使いを蹴り飛ばし、

鎧同士がぶつかり合う轟音だった。

使いはベットを通り過ぎ、窓際に吹き飛び、

重なり合い、もがき始めた。

使いがもがいている間に、サキは

クリスの体を持って、使いが来た道を逆戻りして、

月が照らす外に出た。

停めておいた馬にクリスを乗せ走り出す。

「やっぱり、クリスは普通の旅人じゃなく、

国から逃げてきたんだ。

それも、私達には想像もつかない理由で」



クリスがほんの前まで寝ていた部屋では

暗闇で何が起こったのか解らずにいる使いがいる。

まだもがいている使いがいる。

鎧が重くて立ち上がれない使いがいる。


やっと立ち上がった頃、その部屋は、

クリスが居ない。

散乱したベット。

割れ目の入った床。

そして、真っ暗な空間。

それだけだった。


3人は、どこに行ったか解らないクリスを追うより、

城に引き返したほうが良いと考えたのだろうか、

クリス達とは反対の方向へと歩いていく。


馬の(ひづめ)が地面を蹴る音、

部屋に近づいていた金属音、

その二つは次第に遠ざかっていく。

間に誰も居なくなった村を残して。

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