〜記憶〜
あの男は部屋の中心の玉座に座っている
回りには複数の兵士
男はクリス達に気づき、こちらを向く
「そこから入ってくるとは、つまらん奴じゃな」
そう言ってきた
「それにしても、ずいぶん手薄ね。ここまで来るのが楽だったわ」
サキが大きな声で言う
「あたりまえだな。そこは非常通路」
貶す
「え」
驚くサキ
「別に、兵士なんぞいらんからな」
「そうなんだ」
サキは悔しそうだった
「クリスも何か言ってやろうよ」
クリスに任せようとするサキ
反応のないクリス
「クリス?」
クリスを気にかけるサキ
そしていきなり
クリスは声にならない叫びを上げた
その声は部屋いっぱいに響きわたった
「ど、どうしたの? クリス」
いきなりの事に少々間をあけてからクリスに近づく
「なるほどな、そういうことな」
クリスはそう言ってくる
「やっとだ。やっと全てを思い出した」
記憶が戻ったのか、良く見ると目も開いている
「どうなったの? クリス」
サキは何もわからないでいる
「さぁね。でも、やるべきことは分かるよな」
クリスがまとめた
その言葉にサキも全てを理解した
「そうだね」
「ふっはっはっは…」
玉座に座る男が急に笑い出した
「何がおかしい」
クリスはむかついた
「その言葉、いつまでもつかな」
苦笑しながら続けて言う
「あの時の続きだ」
そう言って何かを放り投げた
クリスの足元に滑り込んできたのはひとつの刀
そう、クリスの刀だった
「これで、何をしようってんだ」
刀を拾い上げて、男に向かって言う
「無論、続き」
男はそう言って玉座より立ち上がる