〜衝突〜
「そういえばさ…ねぇクリス」
いざ入ろうと目立たぬ色で作られた扉を開けようとしていたクリスに
サキが聞いてきた
「何?」
手をかけたままで後ろを向くクリス
「武器は?刀は?どうしたの?」
ハッとしたような、ンー?と首をかしげるクリス
「そういえば、武器がないや…」
頭を元に戻して辺りを見渡す
「あぁいいや、なんとかなるだろ」
そう言って扉を押し開ける
鈍い金属音と冷たい空気
クリスは一息入れて中に入る
「なんなんだろ…」
クリスのことを心配しつつ、一緒に城の中へ入るサキ
城内の空気は一層と冷たかった
吐き出す息が白くなっている
「寒いね…。それに別な寒気もする」
サキが口に手を当てながらクリスに言う
「別に。なんとも心地よくて、しっくりくる感じの冷たさだけど」
いつもと変わらずに歩くクリス
右や左に緩やかな曲線を描いて壁に当たっている
「そうじゃなくて、何も無いのが不気味なの」
サキが白い息を吐きながら言う
「たとえば?」
クリスが壁スレスレでこちらを向いた
「兵士がすくなすぎるし、何よりこの冷たい空気」
「別にラッキーだったって思えば良いだけなんじゃない」
そう言ってるうちに扉が見えてきた
クリスは一度扉にぶつかった。だいぶ音が響いた
その場にしゃがんで鼻を抑えるクリス
でもすぐに立ち上がった
「大丈夫?」
サキが聞く
「うん」
そう言って、扉を引いた
中には…そう…あの男がいたのだ