〜火蓋〜
サキは語るのを止めた。そして顔を上げる、前を向く。未来を見つめているようだ。
「それで、その少女は今どこにいるの」
タイミングを見計らって問いかける。サキを見ながら。
そんなサキを見ながら、話を聞きながら今までの自分を振り返ってたクリス。
「ん〜…まだ執筆中、未完結ということにしときましょうか」
サキが笑ってそう答える。
「早く書き終わらそうか」
クリスもつられて笑顔がこぼれた。
風にのる二人の笑い声。
城に燃える最後の残り火が、その風にのってフワリと消えた。
「それじゃ、行くか」
クリスは立ち上がりサキの元に歩く。手をかす。
「うん、そうだね」
サキは額を置いてその場で立つ、歩き出す。クリスの右手が寂しく震える。
クリスはその手をしまって、サキについて歩く。
二人の後ろで一つの風が吹いた。
その先に待つ道のり。
平坦な道、茨の道、そんなものは関係無かった。
どんな道であろうと、道であることに変わりは無い。
道は道、いままで歩んできた道も道。いろんなものを道しるべとして置いてきた。
この先には道しるべなど無い。それでも歩くしかない。
絶望に陥っても、覚悟を決め、歩く。そうすればちゃんとした道が用意される。
未来が待っている。
歩みを止めるクリスとサキ。
「久しぶりだ」
城を見上げてクリスが言う。
「私は二回目だね。この城見るのは」
サキも言う
「それじゃあ、行こう」
クリスとサキは戦闘態勢にはいる。