〜因話〜
大地は戦場のあった場所から、少し荒れた大地へと切り替わった
その荒野を歩く二つの姿、クリスとサキ
サキはスタスタと先に行ってしまう
クリスはおぼつかない足取り
少しの段差でこけそうになったりして
その度に、先に行くサキに待ってもらったりしていた
最初は「けがはしてない?」、次は「大丈夫なの?」
最終的には「何回目?」の心配する声
クリスは軽く笑って返すだけだった
「それで、目の方はどうなの」
ようやく本題に入った
立ち止まるサキに追いついて、軽く息を整えるクリス
「どこから話そうか」
「んー〜…。最初から」
クリスは段差に座って、サキも隣に座った
「自分自身、何がどう起こったのか分からないんだけど」
長々と話し始めるクリス
「ベットで寝てる時にボーっとしてたら、何か変な感覚になって、気づいたらサキが突っついてた」
「変な感覚?」
サキはクリスを見る。クリスは下を見る
「それは自分でもわかんない。それに、なぜかは知らないけど鼻や耳、触れる感覚が異常なまでに鋭くなってるんだ」
「それもなんでか分からないの?」
「うん」
そう言ってクリスは立ち上がった
「それでも、突っついてるのがサキだとわかった、サキがどんな話してたかわかる、感覚で歩ける、今歩いてる場所も臭いや感覚でわかる。それだけ」
「それって、結構凄いことだよね」
「まぁね」
そう言って、クリスは歩き出す
サキも立ち上がり、クリスの横を歩く