〜使者〜
その日の夜
クリスはまだ疲れが残っていたのか、まだ寝ていた。
けど、サキは起きていた。
それからサキは階段を降り、外に出て、
夜の散歩を楽しんでいる。
そのように見える。
昼とは違った、月夜の晩。
人の気配が無く、静まり返っていた。
サキは独り言を言う。
「クリスか、私と同じシェンリー、
あのとき、躊躇ってたのは、
私と同じ、国に滅亡したからなのかな?」
やはり、クリスのことを思っていた。
一人旅で寂しいのか、一人で居ると不安になるのか、
どちらなのか解らないが、仲間ができて嬉しそうだった。
だから、クリスの心配をしていたのだ・・・
数分間歩いて、ほど良き眠りが来た時に
サキは宿屋に向かった。
それを追うように、後ろから近づいてくる、
金属と金属のこすれる音。
〈カシャ カシャ カシャ〉
それは、イスダンブルクの使いだった。
人数は3人、硬い金属に包まれた身体
腰には剣。頑丈そうだ。
3人はクリスの居る宿屋へと向かっていく。
そして、金属に包まれた腕を上げ、宿屋の入り口に、
手を掛ける。
〈ギィィ カシャ カシャ カシャ〉
使いの歩く音が一階に響きわたる。
まだ、眠りが浅かったサキは、目を開ける。
聞いたことのある金属音に、冷や汗が走る。
「この音はまさか・・・」
サキはこのまま様子を見て戦うか、
クリスを連れて逃げ出すか、考えていた。
だが、サキに答えを出さないかのように、
金属音は近づいてくる。
少しずつ、す こ し ず つ
不安から逃れるように、サキはベットから降りて、
音を立てないように、少しずつ扉に近づく。
そして、ついに
〈ギィィ〉