〜負戦〜
「次は、お前の番だ」
刀の切っ先を自分の親父に衝きたて、
一歩また一歩と近づくクリス
微動だにしない親父。鋭い眼光でクリスを射抜いている。
クリスは立ち止まり、にらみ返す。
武器を持つクリスと、武器を持たない親父
どう見てもクリスの有利のはずだ。
しかし、クリスは一歩も動かない。
まるで、動けば終わり。それだった。
それでも、クリスは思いっきり飛びかかった。
「甘いわぁー」
勝負は一瞬で終わった。
飛びかかるクリスを……
拳で……
打ち落としたのだ。
クリスは気を失い、気づいたのはもう、
周りの地には動かない兵士達
漂ってくるのは夜風に混じる血の臭い
それと・・・火薬の臭いがする
周りを見渡していると、サキが立っていた。
冷たい、凍てるような視線で……
「サキか……」
クリスは下を向いて言った。
「…負けたんだね…」
クリスは地面を思いっきりたたき続け始めた
「くそっくそっくそっ!!」
いきなり、クリスは頭を抑えはじめた。
「痛ってな、くそっ!!!」
親父に殴られた場所、クリスは自分に腹が立っていた。
しばらく、クリスの怒りの姿を見ていたサキ
サキは慰めるつもりで言ったのだろうか、
それとも、違う意味で言ったのだろうか…
「私もさ……クリスが戦ってた奴に因縁があるんだ……」
クリスは首をサキの方に向けて
「親父は……奴だけは俺の手でやってやる。だから、邪魔はするな」
「なら、早い者勝ちだね」
いつの間にか、朝日が射してきた。