〜覚悟〜
「夕刻頃に攻めて来るだろう」
王様は、真上で照りつける太陽を見ながら言った。
「となると・・・結構、時間無いですね・・・」
フェリは他人事のような感じで言った。
そんな中でクリスとサキは黙り込んで何かを考えている。
クリスにとって、いつか来るかもしれない親父との戦いである。
(そうさ、ここで倒しちゃうんだ。殺しちゃうんだ。
そうすれば、何もかも元通りだ)
親父を倒す事だけを考えており、後のことなんてどうでもよくなっているクリス。
サキは何かを考えている…のだろうか
さっきからブツブツと言っている。
「……よしっ……」
その言葉だけ言うと、いきなり走り出した。
普段の明るいサキとはあきらかに違う。
走っているサキは何にも振り向かず、一心不乱だった。
クリスは、考えながら、親父の軍隊が来る方向。
戦いの戦場となる平地に来ていた。
ここに来るときに通ってきた、川の道は、ここにはなく、
あるのは、北から南に一直線に流れるひとつの川だけである。
「ここで・・・夕刻、戦うのか」
太陽が少し傾く空を見上げた。
「覚悟を・・・決めるか」
そして、改めて平地を見渡すと、川の近くに人影が見えた。
よく見てみると、サキの人影だった。
「サキ、何してんの?」
クリスは走りながら近づく。
しかし、サキは何も答えない。
「どうかしたか?」
それでも、サキは答えない。
「なるほどな・・・んじゃあな」
そう言ってクリスは城へと戻った。