〜只管〜
クリスはふと思った
(この男、なんて言うんだ?)
しかし、クリスの話を聞かない男に対して
「名前なんて言うんですか?」
などと聞いても答えてくれるはずが無い
かと言って、なんて呼べばいいか分からないクリス
(名前聞くのが、もう面倒だ。言われるがままにしよう)
こんな結論をクリスは出した。
そして、剣術の修行が始まる。
「武器は壁に飾られているのを使え
オレを倒せれば免許皆伝だ」
男がそう言ってきた
クリスは言われるがまま、壁にある数多くの武器から
今、自分が使っているのと同じ形のものを手に取った。
(面倒だ。早く終わらせよう)
男は何も持たずに仁王立ちでいる
クリスは男に切りかかった。
次の瞬間、クリスは吹き飛ばされていた
(なんだ、いまのは)
クリスは今、吹き飛ばされたことを冷静に思い出した
切りかかったクリスは男に武器を素手ではじかれ殴り飛ばされた。
「くそっ、もう一度だ」
クリスは立ち上がって、また切りかかった。
そして吹き飛ばされた。
「なんで飛ばされるんだよ」
もう一度、同じ事の繰り返し
「何でだ」
「またか」
「弾くな、男」
「弾かれるな、オレ」
同じ事の繰り返し
疲れを見せない男
疲れるクリス
「弱い、弱い弱い弱い弱い弱い!」
男が言った
クリスは考えた
何がいけないかを
同じ事の繰り返しの理由を
ただ黙り込んで
息を切らせながら
そのうち、クリスの息を切らせる音が消え
クリスは立ち上がり武器のある壁に歩いた。
そして選んだものは
軽く薄い刃の付いた長剣の樹だった
クリスの出したのは
[速さ]
これだった
そして、男の前に立った