〜鍛始〜
各々(と、言っても二人だけだが……)
九回目の朝が来るまで、それぞれに別れて過ごした。
〈クリスの過ごし方〉
クリスはサキより先に部屋を出て、外を歩いた。
建物が見えるその先には360度の見渡す限りの樹々
その中心に位置する大きな建物。
城と言うより、大きめに作った樹の家という感じだ。
「小さいな……」
クリスはその小ささに、この牢屋に捕まってた事を思い出した。
(そう言えば、聞き逃した……)
クリスは、サキに抱きつかれた事を思い出し
片手で口を押さえて、赤くなった。
そんな時、後ろから
「よぅ、青年。涙流してどうしたんだ?」
元気な声で、クリスに話しかけたのは
筋肉質の体の人だった。
(涙流している?)
その男が言ったことに、クリスは疑問に思った
きっとこの男は、口を押さえ、赤くなっていることを
泣いていると勘違いしてしまったのだろう
「いや、別に泣いてたわけは……」
しかし、男はそんな事を聞きもせず
「言い訳はよしな。余計悲しくなるぜ
それと、着いて来な」
クリスの話を聞きもせず、クリスを連れて行った
クリスが色々と言ってるにも係わらずに……
そして、クリスの連れてかれた先は
[鍛神]
「たんしん?」
森に近い場所にある、古ぼけた建物の入り口上においてある看板
「そうだ、ここは私の道場だ」
道場と聞いたとたんにクリスは
「ボロボロじゃん・・・」
その言葉は聞こえたのだろうか、男は
「今にでかくしてやるさ」
男はそう言って、クリスを中に連れて行った。
中は、外見どおりにボロンボロンだった。
「えっと……
何をするの? ここで……」
男は
「何って、お前を鍛えてやるのさ。
涙流すやつは、心から弱いからな」
(だから、泣いてたわけじゃないんだって……)
そして、男から無理やり鍛えられる……
(続く)