〜森開〜
一人仲間が加わったせいか、
二人で歩いていたときとは
森に話し声が流れる。
でも、話しているのは
サキとフェリだけの声だった。
後ろに聞こえる、馬に乗ったフェリと
馬を引いて歩いているサキの話を
物寂しそうに聞いているだけだった。
でも、クリスは寂しいのか分からない。
サキは楽しそうだった。
「クリスも一緒に話そうよ」
そう言ってきたのはサキだった。
「遠慮しとく」
クリスは話に混ざってよいのか分からず、断った。
だが、馬を引きながら走るサキに
肩を捕まれた。
「そんな事言わないで」
サキが誘う。
「いいの?」
振り向きながら、クリスが答える。
「いいですですよ」
フェリも誘う。
いつの間にかクリスは、
どこか距離を置いて話をしていた。
「なんで、あんな奴に追われてたんだ」
クリスはあの三人組が気になっていた。
「乙女の過去話は聞かないものです」
フェリがそう答えた。
クリスはその答えに思わずズッコケそうになった。
「私も聞いてみたんだけど答えてくれなくて」
サキがクリスに言う。
「まぁ、言いたい事の一つや二つあるものだし
気にしないで行こう」
そう話をしているうちに光が見えてきた。
話をしていて気がつかなかったが、
周りの樹々の高さが低くなっていた。
そこに見えたのは、樹で造られた城と、
同じ樹で造られた家がいくつかあった。
「なんで・・・です?」
そう言ってフェリは馬から降りて、
来た道を戻ってしまった。