〜続森〜
クリスは、夢を見てた。
楽しかった少年時代のこと。
親父のたくましき姿。
街の人たちの微笑み。
今のクリスには毒と同じようなものだった。
いまじゃ、親父も街の人も記憶も・・・
何もかもが信じたくない事ばかりだからだ。
楽しかった記憶がクリスを見守っていた。
クリスは安心していたが、記憶が闇へと変わった。
その闇はクリスに近づいてくる。
クリスは逃げに逃げまくる。
しかし、走る事の抵抗もできぬまま
闇はクリスを飲み込んでいく。
クリスは目が覚めた。
額に冷や汗をかいていた。
「大丈夫?」
サキは少女と一緒にクリスを見ている。
「あ あぁ」
クリスは夢じゃなかったと悔やんでいる。
「暇さえあれば寝る癖、直したほうがいいよ。
それに、たくさん寝るから悪夢も見るわけだし」
サキはクリスに言った。
(暇さえあればって・・・
暇にさせてるから寝るだけなんだけど・・・)
クリスは思った。
「フェリと一緒に行く準備したからすぐに行くよ」
サキは馬を連れてきた。
「フェリ?」
クリスは首をかしげた。
「この子の名前」
サキは少女を指差し、クリスは見る。
「フェリー=フォルスです。
さっきはありがとうございました」
フェリは首を下げる。
「話は歩きながら言うから行こう」
サキはもう準備万端だった。
クリスは立つだけで準備完了だった。
フェリは馬に乗る。
「それじゃ歩こうか」
サキの声で皆歩き出した。