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〜序章〜
(誰がこんな町にした)
僕はいつもそう思っていた。親父の背中に守られながら、いつも思っていた。
僕が町へ出かけるたび、僕を見かける人は全員、口をそろえて言う。
「あの悪魔が来たぞ〜、殺せ〜」
なんで、なんで殺そうと、なんで僕を殺すのか、
あの日までは考えても、答えが解らなかった。
そう、あの日、僕の親父への尊敬が憎しみへと変わった日。
夜遅くに起きた僕、
いつもは迷わない城が寝ぼけていたためか迷ってしまった。
そんな中で、光る一室を見つける。
ただの興味本意で覗いた部屋。
偶然見てしまった親父の真実。それは、町の人たちへの・・・
[恐怖を通り過ぎたら声がでなくなる]
その言葉通りだった。僕は、自分が立っているかも解らない、そんな気分を味わった。
僕は、その場を逃げるように立ち去った。いや、走り去った。
(もう、親父を信じない)
そう心に決めて、真っ暗な城、町を駆け抜けて
(親父を殺せば町の人も、少しは・・・)
それを、心に決めた。