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第6話 井戸端会議

『マグネトロンの塔』のお蔭か、数日間は平和そのものだった。ミネルバは美咲と悠理と吉祥天の四人で 学校へ行ったり、買い物行ったり実に楽しそう。

 オレは一人で大作プラモデルを鋭意製作中。一人は気楽でいいね。そして完成。完成後、大いなる達成感ともう終わってしまったという喪失感が同時に生まれた。

 吉祥天さんのフィギュアの改造も終わった。彼女に渡したら、喜んでくれた。さっそく新しい器に入って、庭でファイティングポーズをとっている。

 あの、仰々しいドレスからやっと解放された。すごくかさばって決して広くない、我が家を占領していた。簡単に言うと凄く邪魔くさかった。

 美少女が一人増えた。オレは心の中でプチハーレムが出来た事を喜んでいた。


 その翌日。またまた天気はぴーかんの晴天。怪我の具合もだいぶいい。包帯も大分とれた。あとちょっと。

 左肩も動くようになった。

 オレたち三人は朝食を終え、居間で団欒していた。

 そこへ珍客が来た。

「ごめんくださぁーい」

 やけに間の伸びた挨拶だな。

「何だ?二階から聞こえなかったかい?」

 オレはミネルバと吉祥天さんの顔を見る。

「そういえば、そうね・・・・・・もしかして、もう来たのかな?」

 吉祥天さんもにこにこしている。

「はあーい、いらっしゃいませ!」

 ミネルバが元気良く返事をする。彼女の返事から察するに、知り合いのようだ。

 とん、とん、とん。

 二階から人が降りて来る音がする。

 オレは腰に忍ばせていたベレッタに手を伸ばす。用心に越したことはない。

「あっ。いた、いた。二人とも、ご苦労様」

 二階から降りてきた。声の主が現れた。

「「ジャスティス様」」

 ミネルバと吉祥天さんは見事にハモった。二人は笑顔になっている。このジャスティスさんは味方だろうな。

 そして、そのジャスティスさんって女神様はまた凄い恰好で現れた。

 銀色の長く切り揃えられた髪の毛。これまた目が覚めるような美人だけど・・・・・・。オレの目には『第二次世界大戦ドイツ陸軍戦車兵』の格好をした人にしか、見えなかった。

 確かに、二階のシステムラックには戦車兵のフィギュアがあった。でも、美少女を並べていた棚ではなく、三十五分の一ティーガーⅡ重戦車ポルシェターレットの隣にあったはずだ。しかもおっさんのフィギュアだったはず。戦車兵だもの。

 ジャスティスさんって女神、どうしてそっちを選んだ?美少女のほうが良いだろう。

「ジャスティス様!いつ人間界にきたのですか」

 ミネルバが目を輝かせ、NEW女神を見上げる。

 昨日の吉祥天さんに引き続き、三人目の女神登場だ。

「二人の知り合いかい?」

「ジャスティス様です。私たちの上官です」

 ミネルバが説明してくれた。上官って神界の中央情報局のかい?

「今さっきよぉー。カルコースを追ってねぇー」

「やっぱり人間界に来ているのですか?」

「うん。神界での大捜索でも、見つからなかったのよぉー・・・・・・ところで・・・・・・」

 戦車兵・・・・・・じゃなくて、NEW女神がオレのほうを向く。

「わたしは、敵じゃないからぁー。警戒しなくてもいいよぉー」

 オレが、後ろ手にベレッタを握っていたのが、バレていたようだ。NEW女神は伊達じゃない。

「挨拶が遅れてゴメンネェー。私はジャスティス。よろしくねぇー」

 ジャスティスさんは。ニコニコしながら自己紹介した。

「オレは、御影浩太郎・・・・・・」

 一応握手をする。暖かい手だった。こうしていると、元が戦車兵フィギュアだった事を忘れてしまう。 でも、この間の伸びた話し方は何とかならんのか?凄くじれったい。

「あなたが、御影さんねぇー。悪魔五人をハレー彗星まで飛ばしたひとぉー」

「かなり誇張されています。水洗トイレに流しただけです。」

 大体、《すいせ》しか合っていない。駄洒落としては点数をやれない。

「大事なことを話すねぇー。御影さんも聞いていてねぇー」

 ジャスティスさんは真剣な顔で、話し始めた。

「カルコースは、間違いなく、人間界に来ているわぁー。私は彼を捕縛する任務で人間界に来ましたぁー」

 顔は真剣だが、喋り方は間延びしたままだった。

「ミネルバちゃんと吉祥天ちゃんは私と一緒にカルコースを捕まえるのよぉー」

「分かりました。ミネルバ以下二名、カルコース捕縛の任を実行します。」

 ミネルバは明瞭な返事を返す。吉祥天と共に、神妙な表情をしていた。オレは見とれてしまった。戦う女性は美しいって訳か?

「神界もぉーまだゴタゴタが収まってないのぉーだから援軍はわたしだけよぉー」

 ジャスティスさんは「ごめんねぇー」と謝っている。だが、一人でも人員が増えるのはありがたい。

 オレはジャスティスさんに問う。今回オレが巻き込まれた事件の本質を知りたい。この人なら知っているはずだ。

「ジャスティスさん。カルコースってヤツが今回の事件の元凶ですか?」

「そうねぇー。カルコースが、王位を狙っていたのよぉー。それでミネルバが邪魔になったのねぇー。」

「差し支えなければ、詳しい話を教えてくれませんか。オレはちっぽけな人間ですが、力になれるかも知れない。」

「浩太郎君は知る権利があると思います。・・・・・・巻き込んでしまったから」

「そうねぇー。結論から言うとぉー、ミネルバちゃんはカルコースたちの策略にハマッテしまったのよぉー」

 策略だとぉ?何だ、それはぁ?やべっ、話し方が写ってっきた。

 吉祥天さんが後を引き取り、説明を続ける。

「カルコースは、悪魔を使って御影君を襲わせた。ミネルバが『魂のワイヤー』で繋がれているから。そして、御影君を襲って殺すか、助けに現れたミネルバを殺すか、どちらでも良かったのよ。」

「それは、知っている」

 ミネルバの意識を覗いたから。

「そうよぉー、御影君を狙ったのも、弱い人間を殺すのは簡単だからぁー」

「御影君を殺せば、『魂のワイヤー』効果で、ミネルバも死ぬ。」

 吉祥天さんが物騒なことを言う。

「カルコースにとってぇー、幸いだったのはぁーミネルバちゃんが神界にぃー戻れなくなったことなのぉー」

「私を人間界で殺そうと・・・・後腐れないように・・・・・・」

 ミネルバが悔しそうな顔になった。声をかけてやりたいが、なんとしたものか・・・・・・。

「そう・・・『戦死』にしたかったのね」

 またまた吉祥天さんが物騒なことを言う。

「誤算はー、御影さんの存在だったのねぇー。送り込んだ刺客を全て撃退してしまいましたぁー」

「オレは、ただ必死にやっただけだ・・・・・・」

「ありがとう。浩太郎君」

 ミネルバがオレの手を握る。みんなの前で恥ずかしいが、オレも握り返す。

「カルコースの狙いは何です?そんなにミネルバに拘るのはなぜですか?世継ぎ問題の先にあるのは」

 オレは必死だった。ミネルバを何とかしてあげたかったからだ。

 ジャスティスは大きく嘆息し、答える。

「人間界へのぉー侵攻でぇーす」

「ええっ!」

「なんですって!」

 ミネルバと吉祥天さんが驚く。

 なぜかオレはピンと来ない。おとぎ話か対岸の火事のような感じだ。

「そんな事が出来るのか?」

 女神三人に尋ねた。三人はお互いの顔を見る。

「主神様が持っている魔動具を使う事が出来ればー可能でーす」

「今は空席だけどね」

 主神?一番偉い神様の事かな。誰だろう、オレが知っている神様かな?

「でも、カルコースは主神になれなんじゃない?」

「自分のぉー息の掛かった神をぉー主神にするつもりよぉー」

 この辺の会話には、付いていけない。神界の登場人物相関図が欲しい。

「どうして私が邪魔なの・・・・・・」

 ミネルバは狙われる心あたりが、無いようだ。この辺が今回の事件のキモのようだ。オレは三人の女神の話をよく聞こうとして、ドンドン前のめりになって行った。

「ミネルバ、次の王位継承権は、誰?」

 吉祥天さんが質問をミネルバに投げかける。吉祥天さんは顛末を知っているようだ。

「ユピテル様よ・・・・・・」

 ミネルバが答える。そのユピテルって神様は偉い人のようだ。

「ユピテル様の次は・・・・・・」

「ユーノ様よ」

「その次は?」

 ミネルバが驚きの顔をした。そして顔色が悪くなって行く。どうした?

「・・・・・・私?・・・・・・・」

 はっ?ミネルバが?王位継承権。女王様になるの?

「そーなのねぇー。名門ミネルバの名を継ぐ・・・・・・それが理由よ。三大神だからねぇー」

 オレは、思い出した事があった。

「昨日、吉祥天さんが、ミネルバの事、お姫様と言っていたよな・・・・・・」

「なあに?信じてなかったの、浩太郎?ミネルバは名家の姫様よ」

「そうか!・・・・・・狙われる理由は少し理解したぜ。」

 でも、おれにはひとつだけ、疑問が残った。

「人間界への侵攻なんて・・・・・・人間界を掌握してどうする?そんないいところじゃないぜ、人間界は。カルコースってやつが支配者になっても余計な苦労を背負い込むだけだ。税金、治安維持、労働環境確保、民事仲裁、社会保障、これらの問題を解決するのが、支配者だ。それが出来ないやつは支配者になれんと思うぞ」

 どこかの首相や大統領と同じ事をしなきゃならん。大変な仕事だぜ。誰御がどんな風にやっても、文句は言われるし。カルコースってやつバカじゃないのか。勿論オレには全く向いていないしごだ。

「人間界もそうなの?神界と変らないのね」

 吉祥天さんが感心している。・・・・・・どこも一緒だな。

「カルコースがぁー、人間界へ進行する理由はぁー人間を抹殺する事でぇー魂のワイヤーがつながった守護女神を殲滅するためなのねー。敵である私達を殲滅するのが目的よー」

「いずれにせよ、オレとミネルバは命の危険にさらされているのだな」

 オレはミネルバの顔を見た。わわっ、泣いている。オレは胸が締め付けられた。彼女が泣くと、オレも悲しくなる。何とかしてあげたい。何とか・・・・・・。何かいい方法はないのか?オレは悔しくて堪らなかった。何も思いつかない自分に。

「私、主神になりたくない・・・・・・」

「相手は、そう思ってないようねぇー。今は良くても将来の禍根とならないようにぃー」

 ミネルバは泣き出してしまった。またまた、オレの心臓が抉られる。何とかしてやりたい!

 涙を流しながら、ジャスティスに訴える。

「ジャスティス様!『魂のワイヤー』切って下さい!これ以上、浩太郎君に迷惑は掛けられない!」

「ミネルバ!それは!」

 吉祥天が引きとめている。オレも切っては欲しくない。彼女との繋がりは少しでも無くしたくはない。

「ジャスティスの剣で、『魂のワイヤー』を切る事が出来る筈です。私と別れれば、こんな事はもう起きない!浩太郎君を巻き込みたくない!」

 ミネルバが懇願している。くそっつ!オレは・・・・・・何かしなきゃ!出来る事を何か。

「ミネルバちゃん・・・・・・」

「ミネルバ!落ち着いて。ワイヤーを切っても敵の狙いは変わらない!」

「でも!でも」

 オレはミネルバの姿を見て、可哀想で、悔しくて、居ても立っても居られなくなった。

 そしてオレは・・・・・・閃いたぞ。なんだ、簡単じゃないか。天地とやった将棋を思い出した。将棋の勝利条件は?そうだよ。敵に勝つにはどうすればいいか。そうだ、敵将の首を取ればいいんだ!

「ミネルバ!」

 大きな声で、彼女の名を叫んだ。

「浩太郎」

「御影さん」

「浩太郎君・・・・・・」

「ミネルバ・・・・・・そんな事をしなくても、簡単に解決する方法があるぜ!」

 三人の女神の視線がオレに集まる。

「カルコースって野郎を、ぶっ飛ばせばいいんだ!」



 四人で作戦会議。

 皆にお茶とケーキを出した。ミネルバは落ち着いたようだ。腹は正直だな。

 オレの家は『守護女神駐屯地』と化した。

 ジャスティスさんの話によると・・・・・・・。

 カルコースは神界を出るとき、『イージスの盾』と『ズールーの門』を持ち出したそうな。それはどんな魔動具だろう。今回の勝負の鍵になりそうだ。

「イージスの盾は、女神アテナ様が戦の時に手に持つ盾です。最強の盾で、どんな攻撃も防ぎます。」

 ミネルバが説明してくれた。どんな攻撃も防ぐなんて最初から難儀しそうだ。『イージス艦』の名前の由来になっただけはあると思う。

「たぶん、御影君の銃でも歯が立たないかもね。大きくて重いもの」

 吉祥天さんが補足してくれた。ドンドン困難な戦いになる気がして来た。

「どんな攻撃も、か・・・・・・」

 うーん。でも、そんな都合のいい盾なんてあるのか?タングステンのAPFSDS弾を撃打ち込んでみたい。

「その『イージスの盾』って何でできているんだ?」

「今は青銅です。昔はオリハルコンとかで作られていました。ただ、オリハルコンはレアメタルなので、入手が困難になっています。最近は原料が安価なうえ、大量生産に向きで、加工がしやすい青銅で出来ています」

「何?青銅かい?量産型イージスの盾か?青銅って十円玉と同じ材質だろ?ずいぶん材質が落ちているよな。青銅なら、ちょっと強力な大砲で打ち抜けるじゃないかい?」

 ずいぶんと拍子抜けだな・・・・・・大丈夫か?神界の武器は?

「盾にはアテナ様の強力な魔力が掛かっています。その魔力により、私の薙刀でも切ることは出来ません。攻撃魔法も利きません」

 ミネルバががっかりしたように説明してくれた。

「そうか・・・・・・」

「問題は材質よりも、その魔力よ。強力な魔力で魔法攻撃を防いでいるの」

 吉祥天さんまたまた補足有難う。でも、吉祥天さん。人間界で魔力はあてにならないと思うぞ。悪魔五人衆がその無力さを証明した。

 それにしても青銅とはまた軟らかい金属で出来ているんだな。ん?待てよ・・・・・・。

「イージスの盾は魔法攻撃や女神の刃物の攻撃は効かないのはわかった。じゃあ、人間界の武器の物理攻撃はどうなの?」

 オレは単純に心で思った事を女神たちに聞いてみた。これが通用するならオレの考えている作戦は確実に上手く行く。女神たちの魔力や、その法則を逆手に取ればいい。

 彼女達が言うように、こっちの力が足りないなら、知恵で勝負だ。そっちの方がまだ勝ち目がある。

「ど、どうなるのかしら?」

「私にはわかりません」

「それはぁー有効な攻撃だと思いますわぁー。浩太郎さんが五人の悪魔を銃でやっつけたのがその証明ね」

「浩太郎君、何かいい考えがあるの?」

 三人は期待を込めてオレを見る。ようし、その期待に応えてあげよう。悪魔と戦って、奴らが物理攻撃に弱い事はお見通しだ。

「任せて下さい。策はありますよ」

 女神たちの顔が少し安堵の表情となった。いい雰囲気になったよ。

「盾よりも厄介なのは『ズールーの門』の方よぉー」

 ジャスティスさんが立ち上がった。何か思う所があるのか?喋り方からは想像できないけど、彼女は少し興奮気味だ。

「その『ズールーの門』って何?」

「それは、異界を繋げる事が出来る門です。主神様が持っていらっしゃる魔動具の一つです」

「人間界と、魔界、もしくは、人間界と神界を繋ぐ事が出来る門よ」

「その異界が繋がると、どうなる?魔物や幻獣が人間界に大挙して来るとか・・・・・・」

「そぉーです。御影さん、よくわかりましたねぇー」


 オレの回答は正解。言って見るもんだな。

「そうです。昔、神界と人間界がほんの少し繋がって、オゴポゴって特定外来種が人間界に逃げ込んで大変な事になりました」

「ミネルバ、それは本当か?オゴポゴってUMAだぞ・・」

「そうね、最近じゃ門が誤動作して、チュパカブラが人間界に逃げ込んだりもしたわ。何処へ行ったのやら・・・・・・」

「吉祥天さん。それもホント?」

 どうやら地球上のUMAは神界の生き物らしい。

「でもぉー。本当に危険なのはぁー、魔界と人間界が完全に繋がった時ねぇー。魔界と繋がるとー、人間界は魔界に取り込まれてしまいまぁーす。魔界で人間は生きて行けませぇーん。この街が消滅しまぁーす。」

 オレのやな予感の方がまだ被害が少なそうだった。いきなり人類の危機じゃねーか。

「そんな危ないもを・・・・・・管理が杜撰だな・・・・・・神界は」

「いまぁー。私の妖精が『ズールーの門』を捜索していまぁーす」

「ジャスティスさんの妖精は何処を飛んでいるだ?」

「せいそうけぇーん」

 成層圏か?偵察衛星みたいなものか。さすがに隊長さんの妖精は各が違うな。

「『ズールーの門』は発動させるには膨大な魔力と時間が必要となります。」

「そう。いくら、カルコースが強大な神でも完成するまで十日間ぐらいは必要ね。」

「私の妖精はー。強大な魔力を発見する事が出来るわー。まだ、魔力は感知されてないよー」

「じゃあ。その門の傍にカルコースが居ると考えていいのか」

 オレの予測。そうすれば、門と神を同時にやっつける事が出来る。合理的で、こちらの損害を少なくする事が出来るハズだ。

「そうですね・・・・・・彼にとっては神界を脅す切り札のようですから・・・・・・」

 そうか、脅しか・・・・・・オレにはカルコースがヤケクソになって世界をメチャクチャにするかと思ったのだが・・・・・・。

「その門って、デッカイのか?」

 オレの家の庭には三百三十五メートルの塔が立っている。それを考えると、デカいんじゃないか?『ズールーの門』も相当大きい気がするが。

「高さ十五メートルぐらいです」

 うーん、そうか・・・・・・・ところで、神界はメートル法を採用しているの?単純にオレの興味だけど。

「それと、門はかなり頑丈です。私たち女神の魔力を使ってもそう簡単に破壊は出来ません」

 なに?

「そうね・・・・・・器に入って魔力が増大しているけど・・・・・・」

「私たちがぁー、魔力を全て使い切ってもギリギリですぅー」

 オレはハッっとした。

「魔力を使い切ったら、消えそうな光の玉になって、器から出てしまうのか?」

「そうです・・・・・・浩太郎君が倒した悪魔のように・・・・・・たぶん数十年間・・・・・・」

「最悪、二度と実体化できなくなるわ。戦死って事ね」

 そんなことはさせたくないぜ。

「門が完成してぇー、扉が開くまでに、破壊しないとぉー・・・・・・」

 高速で近づいて、破壊することができれば・・・・・・。

 なんか、心に引っかかるものがある。高速で近づく事が出来る物か・・・・・・。

 ミネルバたちが実体化できなくなるのは、オレもつらい・・・・・・。

 ん?実体化?もしかして・・・・・・。

「なあ。ミネルバ、その門にも物理攻撃できるのだろ?」

 ミネルバは、オレの顔を見つめる。

「人間界の物理法則に拘束されます。物理攻撃は可能だと思います・・・・・・」

「御影君の豆鉄砲じゃ無理よ」

 吉祥天さん。豆鉄砲は失礼です。ベレッタM92Fです。

「あと、女神様は、その魔力を使って、フィギュアや模型を実体化できるのだろう」

「ええ。そうです。この器は今、人間の体と同じです。赤い血が通っています」

「結婚だってできるのよ!」

「ロマンティックねぇー」

「吉祥天!ジャスティス様!今はそんな話している場合じゃありません」

「そお?ミネルバだって、気になっているんじゃないの?御影君と・・・・・・」

「そぉーねぇー人間と結婚した神は、何人もいるわぁー」

「わ、私だって・・それは・・・・・・て、浩太郎君が迷惑よ。・・・・・・ねっ浩太郎君」

「なにっ、すまん。聞いていなかった。考え事していた」

 オレの閃きは、確信になった。なぜか、女神たちはオレを睨んでいる。なんだ?

「何とかなるかも知れない。」

「浩太郎君?」

「策があるのですかぁー」

「どうするつもり?御影君」

 オレは、「ふふっ」と不敵に笑った。策があるよ。上手くいけば確実に勝てる秘策がある。イージスの盾もズールーの門も確実に破壊してやる。

「カルコースめ!見ていろよ!ギャフンと言わせてやる!」



 オレは三人の女神に作戦を説明した。

 作戦は単純明快、『ズールーの門』が出現したら、三人の女神がカルコースを撹乱する。

 カルコースの手下や、使い魔の反撃も予想される。ここはあくまで撹乱。

 その隙にオレが、『ズールーの門』を破壊する。それだけ。

 だけど、いろいろと問題が無い訳ではなかった。

「そうねーそれしかないわねー」

「何とかなるの?」

「浩太郎君・・・・・・私は・・・・・・心配です。今度は怪我じゃなく・・・・・・」

 オレはミネルバの言いかけた事が分かったので、彼女の言葉を遮った。

「ミネルバ、議論はなしだ。人間界と神界の危機なんだろう。オレはミネルバや天地や、瀧澤、大日向、 あと、吉祥天さん、ジャスティスさんを失いたくないからな」

「浩太郎君・・・・・・」

「ミネルバ、心配するな」

「名前の順番が気に入らないわ」

「吉祥天さんはミネルバの次にして置きます」

「わたしもぉー、入れてくれるのですかぁー?」

「袖触れ会うのも多少の縁です」

「有難うごさいますぅー」

 オレたちは一致団結して、事に当たる事となった。そして、ミネルバを守り抜くぜ。


「私の得物は、この『金剛の鎌』よ!」

 吉祥天さんは両手を胸の前に合わせて、呪文を唱える。両手を広げると真っ黒の大鎌が現れた。

 女神達は武器の点検を始めた。決戦に向けて。

「私はぁー、『ジャスティスの剣』でぇーす。」

 ジャスティスさんは手の中からロングソードを出した。これまた長い。

「この世に切れない物はありませぇーん。」

 とか言っている。

「イージスの盾は切れるの?」

 オレは、ストレートに聞いた。イジワルっぽく。

「それはぁー、NGワードでぇーす!」

 なんのこっちゃ。うまく誤魔化したな。

 そういえば・・・・・・。

「ジャスティスさんの像は『剣』と『天秤』をもっていますよね。『天秤』は無いのですか。」

 オレはジャスティスの像の姿を思い起こしていた。

「天秤はぁー、私の家のぉー、キッチンにありまぁーす。ホットケーキ作るときにぃー使いまぁーす」

 料理に使っているの?

「私の武器は『雷光の薙刀』です。」

 ミネルバも両手を合わせ、呪文を唱える。両手を広げると、薙刀が現れた。

 この薙刀はオレも一度使った。素晴らしい切れ味だった。

「三人とも、刃物なんだ」

「私たち守護女神は『つるぎ』で、悪と戦います。それは守護女神の誇りです。」

「守護女神の魔力がぁー具現化した物がぁーこの剣でぇーす」

 みんな、カッコいいな。

「気合はいるわね!」

 吉祥天が『金剛の鎌』を構えている。

「そうですねぇー。三人揃うのもぉー、ひさぶりねぇー」

 ジャスティスさんはニコニコしている。と言うか常にニコニコ顔だ。

 あとは、オレの武器か・・・・・・・。

 使いこなせるだろうか。それが不安材料だった。

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