恋愛指南書ですか?
「オススメの本ってありますか?」
これ以上押しても、私が引くだけだと思ったのか、野々宮君は私の蔵書に視線を移した。
よし、恋愛トークからフェードアウトするぞ! と私はその話題に乗った。
「どういう本が好きなの?」
「年の差恋愛本です!!!」
「・・・・・・・・・・」
フェードアウトしてねぇ!!
・・・・・まあいい。
そのリクエストに応じてやろうじゃないか!
私の本棚に刺客はない!(ウソだけど)
私は「年の差、恋愛、学生向け・・・」と本棚をじっくりと見た。
高さ2メートル弱、横幅5メートル。二重構造のオーダメイド。自慢の一品だ。
これだ!!
私はニヤリと笑った。
取り出したるは「源氏物語 1巻」
なんて学生向けの年の差恋愛本!
「はい、どうぞ」
野々宮君はパラパラと本を捲った。
「・・・絵、無いですね」
「無いわね。・・・ムリそうならマンガを貸すわよ? 青年マンガ(エロ濃い目)と少女マンガとどっちがいいかしら?」
「・・・小説読んでみます」
ムリしないほうがいいと思うけれど・・・。
あの本好きの姪っ子ですら1冊読むのに1ヶ月以上かかったブツだ。
イジメすぎた?
「悪いこと言わないから、マンガにしておきなさい。男の子だし、青年マンガがいいかな?」
渡したマンガを野々宮君はパラパラと捲り・・・パタンと閉じた。
「・・・・・・少女マンガでお願いします」
エロ多めだものね。告白した相手(しかも片思い。美少年が私に片思い!!)から借りるにはハードルが高かったかな。
他になにかありますかって聞かれたので、黙って『ロリータ』を渡した。
あの子の求めるものとは違うことは承知だ。
源氏物語は54帖ある長編だし、ロリータも分厚いです。
野々宮の借りた少女マンガは「あさき○めみし」をイメージしています。青年マンガは江○達也。