旦那様でお願いします
春都視点って初めてじゃね? そして書きにくい。
愛しい恋人の上平つかさが、先に渡米して四ヵ月後。
俺、野々宮春都はようやくロサンゼルス行きの飛行機に乗った。
チームメイトやクラスメイト、友人達が応援や景気付けに送別会を開いてくれたのは嬉しかった。
が、それ以上に嬉しいのが、四ヶ月ぶりに彼女に逢えることだった。
電話口での彼女は、陽気で明るくて、寂しくて落ち込んでいる俺とは全く様子が違った。
思っているより愛されていないのかも?と思ったのだが、トドメが昨日の電話。
「ちょっと調子悪くてね。ジェニーさんとジェフ君を空港に迎えに行かせるから。写メ送るから探してね」
迎えに来てくれない!(大ショック)
大体、予定ではロサンゼルス直行便ではなく、ハワイかグアムで一旦降りて、結婚式を挙げる予定だったのに、彼女が「仕事が~」などと言って先に渡米してしまったので、その計画も潰えた。
学校が始まるのは九月なので、それまでにカリフォルニアの教会で式を挙げられないだろうか・・・と俺はその手の雑誌を読みながら飛行機で時間を潰している。
英語は彼女が必死になって教えてくれたので、カタコトなら喋られるようになったし、雑誌程度なら内容も分かるようになった。
そしてロサンゼルス空港で・・・。俺は丸々としたジェニーさんと、隆々としたジェフと初対面を果たした。
「まあまあまあ! つかさ様のおっしゃった通り、東洋のプリンスね!」
「って言っても歌手のプリンスじゃないよ。バスケやってるんだろ? スラムダ●クのルカ●みたいだね!」
2人は・・・彼女の言ったとおりの人物だった。母親はハイテンションで、息子はオタク。
そして車に乗って移動中、ジェニーさんは俺に聞いてきた。
「ところで、なんとお呼びします? 旦那様? ご主人様? それともつかさ様みたいに名前のほうがよろしいですか?」
「旦那様でお願いします!」
「「・・・・・・・・プッ!」」
2人はゲラゲラと笑った。
「本当に、つかさ様の言ったとおりの人ですね!」
「旦那様ね! OK 式場は決めたのかい? オススメを紹介してもいいよ?」
「是非お願いします!」
なんだ、いいやつじゃないか。と俺はジェフへの感想を改めた。
春都、渡米完了。
そしてジェフに敵対心を抱いていた模様。
さて、次は一番重要な伏線を拾いますよ!




