捨て台詞は「バーカ!」
なんだかんだと季節は巡る。
春。春都君は高校三年生となり、多少は英語能力も上がった。
そして私、上平つかさ(年齢ヒミツ☆)は・・・・・・・。
「別れたくないです」
「そんな事いわれても」
「ずっと一緒にいたいんです」
「そのための準備だと言ってるでしょうが!!!」
現在キレてます。
本来なら夏にアメリカに渡る予定だったのですが、国内の仕事より欧米での仕事が増えすぎたので、春都君より一足先にアメリカに旅立つことになったのだ。
「俺も一緒に行きたい・・・」
「あと3ヶ月半のガマンでしょうが!」
「俺の誕生日も居ないし・・・」
「去年も居なかったじゃん」
「酷い。俺を置いていくなんて酷い」
メソメソメソ。
ここは成田空港である。
ものすごく目立ってる。
チラチラ見られてる。
絶世の美男(もうどこから見ても美少年期は過ぎた)を公衆の面前で泣かせているんだから仕方ないのかもしれないが、私は泣かせるために旅立つんじゃないぞ!
「ちょっと長めの出張だとでもおもいなよ」
「思えない・・・」
「・・・・・・・・・(怒)・・・・・・・・」
私はドーンと春都君を突き飛ばすと、機内に持ち込む鞄をとっつかんで、「バーカ!」といい置いて飛行機に乗り込んだ。
大人気ないことは百も承知だ。
翌日。ロサンゼルスにて。
『なんてことをしてくれたんですか、つかささん」
「・・・はい」
『この落とし前どうつけてくれるんですか、つかささん」
「・・・はい」
『はい、で済ませる気ですか、つかささん』
「・・・はい」
『・・・・・・・フウ』
森川君の怒りの電話を『はい』で乗り切り、私もフウ、と息を吐いた。
白亜の宮殿ならぬ、白亜のわが家である。
家、というにはいささか大きい。屋敷とも呼べるかもしれない微妙な大きさ。プール付き。
コネというコネを使いまくり、格安で手に入れた賃貸物件である。
家賃は安いが、定期的にオタグッズを献上せねばならない。
そう、これは私のアメリカの住むオタ友達の持ち家の一つなんである。
なんでも昔、二股掛けてたときの予備のほうの彼女とのアバンチュールに使用していたとか。
現在の奥様はそういう理由でこの家をお気に召さないらしく、『あの女のにおいの付いている家なんていらない! タダでいいから人にゆずってよ!』と言ったらしい。
さすがにもらうわけにはいかないので賃貸(格安だけど)。
私らが居なくなった後は多分売りにだすんじゃないかな。
ともかく「豪快に使ってくれて構わない。色を塗るなり、穴を開けるなり好きにしてくれ」と言われたので・・・とりあえず寝室のドピンクの壁をベージュに塗り替えよう。コレハイヤダ。
ヒラリー事件(?)の伏線を拾いました。支社長経由でオタ友達に話が伝わり、家が見つかりました。




