山越え、谷越え、砂漠越え、雪山に到着……鼻水が凍った!?
ギャグに出来てない気がする。
まあ、こんなもんだろ。
どうぞどうぞ。
「さむ、い……です……」
「わた、しも……ム、リ……」
「……………く、ん」
「……あそこに小屋があるから、あそこまで我慢しろ」
現在僕達は、雪山にいる。
昨日まで砂漠だったんですけど、何時の間にか吹雪いてました。
僕は、フェナちゃんを抱っこしている。
意外と暖かい。
ミアさんは、ライドさんに背負ってもらっている。
エルムさんは……………うん。
ライドさんが言った小屋は、見る限り……崖の向こう側ですね。
「……どう、する、ん、ですか?」
「……勇者、考えろ」
こういう時に頼られても……実は、見えない橋が架かってるとか、ないですかね?
このままだと、凍え死にますし……試すだけ試しますかね?
恐る恐る下の見えない崖に足を出してみる。
やっぱり感触がな……くないですね。
足の裏に靴ごしながらも伝わる、感触。
傍から見ると、浮かんでる様に見えるかもしれませんね。
完全に見える地面から足を離すと、僕の立っている所から向こう側まで雪が積もり始める。
まるで、今、その形を作ったかのように。
これが、魔法の仕掛けという奴ですか?
「……さすが勇者だ」
「……と、とりあ、えず、いき、ま、しょう」
ミアさんとフェナちゃんが、動かなくなりましたね。
急がないといけません。
~エルム?~
(………………………………………)
~ライド~
エルムを解凍しないといけないな。
まあ、液体だしな。
小屋は、よく使われるのか分からないが、暖炉やキッチンなど綺麗にされている。
暖炉に張り紙が張ってある。
『出る時は、綺麗にする様に』と、書かれていた。
とりあえず、火を起こさないといけないな。
~解凍後のエルム~
(だからこの体は嫌いなんだ!!なんだあの寒さは!!バカにしてるのか!!高が雪風情が生意気なんだよ!!……落ち着け……………ふぅ……そうだ、途中魔力を感じたが、気にする必要はないか……この犬、なかなか暖かいじゃないか)
~リラ~
エルムさんが、フェナちゃんを飲み込み始めてる。
まあ、溶けてるわけじゃないからいいですね。
室内を見渡すと、何か違和感がある。
ソファで寝ているミアさん。
壁に寄りかかって、目を瞑っているライドさん。
足元に、フェナちゃんの首だけ残して、体を包んでいるエルムさん。
そして、暖炉の前で手を翳している、小柄な少女。
「……あれ?」
「どうかしたのか?」
ライドさんが反応しないと言う事は、害意はないということですね。
なら安心です。
初めから居たのかもしれませんし。
「……旅人?」
「え?あ、はい、そうです」
「……そう」
謎の少女が唐突に話しかけてきた。
少女の質問に答えたら、関心が無くなったのか、ただ暖炉の火を眺める。
少女から視線を外すと、ライドさんが少女に向かって剣を、何時の間にか起きたミアさんが弓矢を構えていた。
フェナちゃんも何時の間にか起きていて、少女から距離をとっている。
エルムさんは、フェナちゃんにくっ付いていた。
「ど、どうしたんですか、皆さん?」
「リラ、離れろ」
「その子……人間じゃないっぽいよ~」
「ワン!」
訳が分からないが、とりあえず離れておこうと足を動かそうとしたら、動けなかった。
足元を見ると、凍っていた。
え~つまり、この暖炉の前で暖まっている謎の少女は、人間ではなく……僕ピンチ?
少女を見ると、ゆっくりとした動作で立ち上がった。
そして、何故か僕の事を見て、近付いてくる。
……遺言を伝えなくては。
少女は目の前で止まる。
「……」
「……」
お互い何も言わず、見詰め合う。
よくよく見てみると、少女は可愛らしい容姿をしていた。
雪のように白い肌。
透明な氷のように綺麗な髪。
冷たい雰囲気の水色の瞳。
こんな観察していますけど、正直ちびりそうです。
少しの間見詰め合っていると、少女が呟く。
「……怖い?」
「……そうですね、怖いと言えば怖いですが……問答無用で殺したり、しませんよ、ね?」
正直全力で逃げたいです。
「……そう」
それだけ言うと、また暖炉の前に戻って暖まり始める。
足元の氷も無くなっていた。
「えっと……一緒に行く?」
とりあえず誘ってみた。
最近、とりあえず仲間に誘う事が多いな。
少女は小さく頷いた。
「……と、言うわけで、この子も今日から仲間です」
『……』
視線が痛いですよ。
こうして、強そうな(?)魔法使い(?)が、仲間になった。
後で、名前でも聞こうかな……
そんな、雪山での出来事。
という訳で、魔法使いゲット。
これで戦闘は三人に、間違えた、四人になった。
人間二人、エルフ一人、スライム一匹、犬一匹、次回で分かる少女一人。
次、誰増やす?
冗談だけど。