# 最終話 ## 「俺には力がない。でも仲間がいる」
# 最終話
## 「俺には力がない。でも仲間がいる」
世界救済から一年後――。
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王都。
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今日も広場は賑やかだった。
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子供たちが走り回る。
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商人が声を張り上げる。
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平和だった。
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本当に平和だった。
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そして。
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その平和を作った英雄は。
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「荷物重い……」
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荷物持ちをしていた。
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「隊長ー!」
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聞き慣れた声。
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リアだった。
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「隊長じゃない」
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一年経っても変わらない。
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リアは笑う。
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「でも英雄ですよ?」
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「それも違う」
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フェルも現れる。
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「諦めなさい」
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「世界中がそう思ってる」
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「理不尽だ」
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ガルドが豪快に笑った。
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「はっはっはっ!」
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「隊長は今日も元気だな!」
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「元気じゃない!」
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いつもの光景。
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いつもの仲間。
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それが嬉しかった。
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その時。
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王都中の鐘が鳴った。
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ゴォォォォン――
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ゴォォォォン――
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広場が静かになる。
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そして巨大なモニター魔法が空に映る。
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国王の姿だった。
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『本日は建国祭』
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『そして英雄レインへの感謝祭でもある』
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「帰りたい」
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即答だった。
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しかし。
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もう遅い。
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子供たちが駆け寄ってくる。
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「レイン様ー!」
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「握手してください!」
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「サインください!」
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「英雄様!」
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「違うんだよなぁ……」
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レインは遠い目をした。
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すると。
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一人の少女が近付いてくる。
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銀色の髪。
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赤い瞳。
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ルナだった。
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彼女は少し微笑む。
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「まだ慣れない?」
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「慣れるわけない」
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「そう」
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ルナは空を見る。
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青い空。
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千年前。
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守りたかった空。
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ようやく辿り着いた空。
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「ありがとう」
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小さく呟く。
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レインは首を傾げた。
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「何が?」
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「全部」
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ルナは笑う。
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今度は寂しそうではない。
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幸せそうだった。
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その時。
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レインの耳に懐かしい声が聞こえた。
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『よう』
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「え?」
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誰にも聞こえていない。
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レインだけだった。
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『頑張れよ』
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アークだった。
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もう姿は見えない。
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けれど。
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確かにそこにいた。
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レインは少し笑う。
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「そっちこそ」
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『あとは任せた』
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声が消える。
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空へ溶けるように。
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レインはしばらく空を見上げた。
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そして。
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仲間たちを見る。
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リア。
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フェル。
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ガルド。
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ルナ。
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ミーナ。
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シオン。
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誰一人欠けていない。
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レインは思う。
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英雄になりたかったわけじゃない。
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世界を救いたかったわけでもない。
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ただ。
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みんなと笑っていたかった。
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それだけだった。
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でも。
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きっと。
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それが一番難しくて。
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一番大切な願いだった。
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だから。
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レインは笑う。
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「飯でも食いに行くか」
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「賛成!」
リア。
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「お腹空いたわ」
フェル。
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「肉だな!」
ガルド。
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「甘い物も」
ルナ。
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笑い声が響く。
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青空の下。
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最弱の英雄と。
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最高の仲間たちは歩き出す。
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もう世界を救う必要はない。
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もう誰も一人じゃない。
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だから。
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この物語は終わる。
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そして。
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彼らの日常が始まる。
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# 完
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### エピローグ予告
**『最弱英雄のその後の日常』**
世界最強パーティになったのに、
なぜかレインだけ雑用係のまま!?
リアの恋心。
ルナの猛アタック。
フェルの不器用な優しさ。
ガルドの勘違い。
そして平和になった世界で始まる新しい物語――。




