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卒業

作者: 灰水晶
掲載日:2026/03/19

先輩が卒業した。







美しい先輩だった。



優しい先輩だった。



小悪魔な先輩だった。



小さい先輩だった。



頼れる先輩だった。



可愛い先輩だった。



めんどくさがり屋な先輩だった。



才ある先輩だった。



自信家な先輩だった。



お人好しな先輩だった。



偉大な先輩だった。



憧れの先輩だった。






卒業式でも緊張せず、我を貫いていた。


入場の時、その小さな足で、のんびり、ゆっくり、堂々と歩いていた。


背が小さいから、すぐに人で隠れて見えなくなってしまった。


卒業証書授与では壇上に立っても、髪型を気にするように、髪で遊ぶように、小さなポニーテールの頭を揺らしていた。


返事をする声はやっぱりちょっと小さくて。けどそれでも、予行の時より芯の通った声だった。


退場では、真顔のようだったけど、どこか吹っ切れたような顔もしていた。


花道では、友達と3人組で、PTAからの贈り物をこっそり開けていた。


自分じゃ話しかけることもできなくて。


泣きながら抱き合っている女子同士の関係が羨ましくて。


ネクタイを後輩に渡している男同士の関係が羨ましくて。


ただ見ていることしかできなかった。





誰よりも輝いて見えて。自分じゃ届かないくらいの存在で。本当に憧れの先輩だった。

先輩に笑顔になってほしくて。先輩に振り向いてほしくて。


先輩が部活で練習サボって、友達とずっと雑談しているのを見ているのが楽しくて。


いつしかそれが自分が部活を頑張る唯一の理由になっていたりして。


今までずっとぺったんこだと思ってたけど、私服姿を見かけたとき、結構大きくてびっくりしたり。


他の男子と話しているときに、どうしようもなく嫉妬してしまって。


告白してしまえたらな、なんて数えきれないほど思ったりして。









本当に色々なことがあった。


先輩は、自分のささやかな青春だった。



どうか先輩の目の前に、素晴らしい未来が広がっていますように。

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