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●にげる
言い忘れていたが、あなたはアリだった。
アリだから、アリの這い出る隙間があるならそこから逃げることは難しくなかった。
重いハンマーを持つ大男の動きは決して速くはなく、するすると足元をくぐり抜けるあなた。
「おのれ、ちょこまかと!」
大男は苛立ってハンマーをどかんどかん振り下ろすが、あなたには当たらない。
あなたはついに壁の隙間から外へ脱出することに成功した。
囚われの小屋から出たあなたの目の前には広大な大地が広がっていた。
後ろから、小屋が崩れ落ちる音が聞こえる。
かなり古い造りだったので、ハンマーであれだけ床やら壁やら殴ってたらそうなってもおかしくない。
大男ざまぁ。
あなたは悠々と歩き出した。
新たな人生、いやアリ生が始まる。
【HAPPY END】